いすみ鉄道「脱線事故」全線で運転見合わせ、再開未定 直近4年で2回の行政指導



いすみ鉄道(千葉県)で10月4日の朝、脱線事故が発生した。この影響で同社は全線の運転を見合わせている。運輸安全委員会(JTSB)は調査官2名を現地に派遣した。

いすみ鉄道の列車。【mjupiter1208/写真AC】

事故は10月4日の8時08分ごろ、いすみ線・国吉~上総中川の苅谷踏切付近で発生した。いすみ鉄道によると、脱線したのは大原発→上総中野行きの列車で列車番号は5D。車両は351+352号の2両編成。国吉駅を定刻に発車して42km/hで走行中、中平戸踏切を過ぎたあたりで列車に異音と振動を感じた。列車を停車させ確認したところ、車軸が全8軸のうち6軸が脱線していた。乗客乗員105人にけがなどはなかったという。

この影響でいすみ線は大原~上総中野の全線で運転を見合わせている。10月5・6日は代行バスを3往復分、運行する計画。10月7日以降の運行計画は未定で、列車再開のめどは立っていない。

いすみ鉄道は直近の4年間で少なくとも2回、国土交通省から行政指導を受けている。2020年11月に同省が実施した保安監査では、多数のプラットホームで建築限界が超えている部分があることや、自動列車停止装置(ATS)の動作試験を実施していないことなどが判明。改善措置を講ずるよう指示されている。

また、2022年2月に軌道変位検査(線路のゆがみのチェック)を実施したところ、7カ所で整備の基準値を超えていた。その9カ月後に国交省が実施した保安監査では、基準値を超えていた7カ所の軌道整備が行われていなかったことが判明。ほかにもレール継ぎ目の遊間(隙間)の適否判定が行われていなかったことなどが分かり、改善措置を指示されていた。

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