大井川鉄道はJR西日本から譲受した12系客車5両のうち4両の売却を決めた。6月に購入検討者向けの説明会を有料で開催する。

販売予定の車両は12系のオハ12形3両(オハ12 701~703)とスハフ12形1両(スハフ12 702)。展望車のオハフ13形1両(オハフ13 701)は対象外だ。1両単位で販売し、一部のみ購入や部品取りはできない。価格は1両あたり100万~150万円。これとは別に輸送費がかかる。車両輸送を確実にできることと、8月末までに輸送を完了することが条件だ。
説明会は新金谷駅付近で6月7日に開催。社長による詳細な説明や車両の現車確認を行う。参加費は5000円で定員30人の先着順。申し込みは大井川鉄道のオンラインショップで受け付けている。


大井川鉄道が保有する12系は、かつてJR山口線のSL列車「やまぐち」用としてレトロ風に改造された客車。2017年に旧型客車風の新型客車に更新され引退したが、翌2018年に大井川鉄道がJR西日本から譲り受けた。
大井川鉄道はSL・EL列車で使用している旧型客車の更新や冷房化を目的に12系を導入する計画だったが、その後のコロナ禍や災害で「整備の余裕がなくなった」(大井川鉄道)のに加え、部品の盗難も発生。導入できないまま現在に至り、大井川鉄道は売却を決めた。

一方、今回の販売対象に入っていない展望車のオハフ13 701について、大井川鉄道は鉄道プレスネットの取材に対し「あらゆる可能性を排除せず検討するため、今回の販売対象から除外した」と話しており、営業運転に導入される可能性もまだ残されている。12系に先立ち2016年にJR北海道から譲り受けたが現在に至るまで運用していない14系客車の座席車4両も、同様の理由で今回の販売対象から除外したという。
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