伊予鉄道の坊っちゃん列車「お茶」に 伊藤園のラッピング、運行維持の後押しに



伊予鉄グループは4月25日、伊予鉄道が松山市内線で運行している「坊っちゃん列車」を新デザインで運行すると発表した。運行維持に向けた取り組みの一環。

「お~いお茶」のロゴで装飾した「坊っちゃん列車」。【画像:伊予鉄グループ・伊藤園】

飲料メーカー「伊藤園」の協賛によるラッピング列車とし、客車の車体側面を伊藤園の茶系飲料「お~いお茶」のロゴで装飾する。5月2日10時から道後温泉駅前でお披露目イベントを開催。翌5月3日から運行を開始する。

「坊っちゃん列車」新デザインのイメージ。【画像:伊予鉄グループ・伊藤園】

「坊っちゃん列車」は夏目漱石の小説『坊つちやん』で「マッチ箱のような汽車」と表現された、伊予鉄道創業期の小型車両を模した列車。蒸気機関車風のディーゼル機関車が客車を牽引して走る。2001年に運行を開始した。

運営上は赤字で、運行開始から22年間の累積赤字は約14億円にのぼる。さらに乗務員士不足を受けて2023年11月から運休。2024年3月に運行を再開したものの、厳しい運営状況が続いている。伊予鉄道は2023年12月、運行継続は困難として松山市に対し維持費の支援を要請。同市は法定検査費用の3分の1(上限400万円)を補助する体制を整えた。

松山市は2024年6月、「坊っちゃん列車」の支援を目的にクラウドファンディングを実施したが、目標額の2500万円に対し寄付額は1割程度の283万円だった。その一方で市民や観光客へのアンケート調査を実施したところ、8割近くが運行の継続を希望した。

松山市はこれを受け、「坊っちゃん列車」の運行維持は観光産業活性化のため一定の公益性があると判断。2024年11月に維持費の支援を拡充する方針を示した。2025年度当初予算では運行支援費として2000万円を計上。年間で4000万円ほどかかる維持費を最大で半分補助する。

伊予鉄道の「坊っちゃん列車」(2006年)。【撮影:草町義和】

伊予鉄グループは伊藤園の協賛について「人手不足など厳しい環境の中、運行維持に向けた取り組みを続けております。今回の協賛は、そうした現状を支える心強い応援となるものであり、地元の観光資源として持続的な運行に向けた、大きな後押しとなります」としている。

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