鉄道・運輸機構は4月1日、工事中の北海道新幹線・新函館北斗~札幌に敷設するレールの鉄道貨物輸送を開始すると発表した。4月に出発地と到着地でセレモニーを開催する。

輸送区間は日本製鉄の製鉄所がある北九州市から北海道新幹線の駅が設けられる長万部まで約2100km。青函トンネルを経由し、新幹線車両6両分に相当する長さ150mのレールを貨物列車に載せて運ぶ。
北海道新幹線・新函館北斗~札幌の工事は一部のトンネルで掘削が難航するなどして大幅に遅れているが、全体のトンネル掘削率は3月1日時点で8割を超えている。高架橋の工事も進んでおり、軌道工事も始まっている。
鉄道・運輸機構によると、整備新幹線に敷設するレールは従来、製鉄所で製造された長さ150mのものを使用しているが、長すぎて積み下ろしや輸送が難しく、いったん25mに切断。船やトレーラーで軌道建設基地に搬入したのち、敷設現場で再度溶接している。

このほど、レールを切断せずに貨物列車で輸送する方法が確立したことや、長万部駅は在来線と新幹線の工事現場が隣接していて150mレールを取り卸すことができることから、150mのまま貨物列車で輸送することにした。溶接作業が減ることから工程が短くなり、溶接部分の減少でレールの品質向上も期待できる。整備新幹線用のレールを製造時の150mのまま貨物列車で輸送するのは初めてという。

鉄道・運輸機構は「製鉄所から工事現場まで、積み替えなく一貫して貨物鉄道輸送することで、モーダルシフトに寄与します」とアピールしている。
貨物列車によるレール輸送自体は古くから行われており、長さが200mほどのロングレールに対応できる専用貨車も存在。複数の専用貨車にまたがるようにしてレールを搭載する。専用貨車には搭載したレールが線路のカーブにあわせて自然に曲がるよう、レールの固定・誘導装置が付いている。

出発セレモニーは4月18日の午前、北九州市内の貨物ヤードで開催。鉄道・運輸機構のほかJR貨物と日本製鉄の関係者があいさつし、テープカットを行う。到着セレモニーは函館本線の長万部駅構内で4月21日午後に開催。長万部町の住民らによる出迎えや、貨物列車乗務員への花束贈呈を行う予定だ。
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