フランス国鉄(SNCF)と鉄道メーカー「アルストム」は、フランス高速鉄道の高速列車「TGVイヌイ」の新型車両「アヴェリア・ホライズン」の導入に向け準備を進めている。3月11日、パリのリヨン駅で「アヴェリア・ホライズン」の発表会を開催し、車内を一般に公開した。『ル・フィガロ』などが伝えた。

「アヴェリア・ホライズン」はアルストムの高速車両ブランド「アヴェリア」の一種。SNCFでの名称は「TGV M」で、TGVの第5世代車両に位置づけられる。編成両端に動力車(機関車)を連結した動力集中式で、中間の客車は2階建て構造を採用。TGVの現在の2階建て車「TGVデュープレックス」の後継車両になる。最高速度は350km/h。

デザインはSNCF傘下のコンサルティング会社「AREP」と佐藤オオキ氏が率いる日本のデザイン会社「nendo(ネンド)」が共同で手がけた。デザインコンセプトは「川の流れ」。車内は下部を暗めの色、上部を明るめの色で装飾し、色の境界を水平線のように表現している。


客車は1等車と2等車、軽食堂車(ビストロ車)で構成される。リフトを設置するなど、車椅子利用者が単独で列車を利用できるようにした。

車内照明は列車の速度にあわせて明るさを自動的に調整。駅に停止しているときは客が車内に忘れ物をしないよう明るさを最大レベルにし、走行中は最大レベルの半分に抑えて居心地を良くするという。このほか、大型荷物置き場や自転車の搭載スペースも設けた。


ビストロ車は1階をセルフサービスのショッピングエリアとし、冷蔵庫などを設置。2階に28席分の食事スペースを設ける。


SNCFは「アヴェリア・ホライズン」115編成を発注。2022年に最初の編成が完成し、2023年から試験走行が行われている。当初は2022年からの営業運行が予定されていたが開発が遅れており、現在は2026年の運行開始が見込まれている。
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