阪神電鉄「新型も赤胴車」形式は3000系、座席指定も 株主総会「風物詩」どうなる?



阪神電鉄は3月10日、新型の急行用車両「3000系」電車を導入すると発表した。同時に座席指定サービスも導入する。

3000系のイメージ。【画像:阪神電鉄】

3000系のコンセプトは「かける」。「たいせつがギュッと。(=様々な利用者に寄り添ったアイデアの掛合せ」を現す「掛ける」と「急行用車両としての疾走感」を現す「駆ける」、「将来に向かってのさらなる飛躍」を現す「翔ける」、「人と人、人と社会の架け橋」を現す「架ける」の四つをかけた。

車体のカラーリングは「急行用車両として長年愛されてきた『赤胴車』のイメージを受け継ぐ」として「Re Vermilion(リ・バーミリオン)」を採用。阪神電鉄は既存の急行用車両も順次このカラーリングに統一するとしている。

3000系のデザインコンセプト。【画像:阪神電鉄】

1編成6両とし、このうち1両を「座席指定サービスが提供可能な仕様」とする。電気式戸閉装置やインバーター式空調装置を阪神電鉄として初めて採用。同期リラクタンスモーターシステム(SynTRACS)を駆動システムに採用し、消費電力を8000系電車に比べ約6割削減する。

3000系の導入時期は2027年春の予定。車両や座席指定サービスの詳細は後日発表する。

阪神本線の急行用車両は1958年以降、クリーム色と赤(バーミリオン)の2色でデザインされ、テレビドラマ『赤胴鈴之助』にちなんで「赤胴車」と呼ばれていた。しかし2001年にデビューした9300系電車はオレンジ色とクリーム色の2色を採用。既存の車両もオレンジ色を使ったデザインに順次変わり、赤胴車は2020年に消滅した。

オレンジ色は阪神タイガースの「宿敵」といえる読売ジャイアンツがチームカラーとして採用している。このため「オレンジ色の電車」はタイガースファンから「批判」の的になっていた。遅くとも2004年以降、阪神電鉄・阪急阪神ホールディングスの株主総会では株主から「オレンジ色の電車をタテジマに変えてほしい」といった意見が出るようになり、いまでは株主総会の「風物詩」になっている。

タイガースファンの「批判」の的になっている阪神電鉄の「オレンジ色の電車」。【画像:ふじやん☆/写真AC】

阪神電鉄は今年2025年3月3日、開業120周年企画の一環として8000系の塗装を全車「赤胴車」に変更すると発表したばかり。新型の3000系も赤胴車を踏襲したデザインになることから、次の株主総会で株主がどう出るか注目される。

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