今年2023年も各地の鉄道で新型車両のデビューが予定されている。「宇宙船」をイメージしたというユニークなデザインの通勤電車や、豪華な仕様の特急電車、完全新設の軽量軌道交通(LRT)に導入される路面電車も。おもな新型車両の導入予定をまとめた。
JR貨物:EF510形300番台(2023年3月)
関西~新潟~東北の日本海沿いを走る貨物列車を中心に運用されている交直両用電気機関車のEF510形を九州の貨物列車向けに仕様変更したもの。交流回生ブレーキを追加している。車体の塗装は従来のEF510形がおもに赤なのに対し、300番台は銀色。
2021年12月に量産先行車として1両(301号機)が完成し、これまで301号機による走行試験が行われていた。今年2023年3月から本格的に導入が始まる予定。
大阪メトロ:400系(2023年4月)
大阪市営地下鉄の民営化後では初の新形式車両となる通勤電車。大阪・関西万博の開催(2025年)に向け、中央線の老朽化した車両の更新を図る。宇宙船を意識したというデザインが特徴で、先頭部はガラス張りの展望形状を採用。クロスシートやモバイル端末向けのUSB電源を導入した。
138両(6両編成23本)が導入される計画で、近鉄けいはんな線への乗り入れ区間を含むコスモスクエア~学研奈良登美ヶ丘で運用される。2025年の大阪・関西万博開催時にはコスモスクエア駅と万博会場の夢洲地区を結ぶ北港テクノポート線が開業。同線と中央線の直通運転が行われることから400系も同線に乗り入れる。
JR北海道:737系(2023年5月20日)
室蘭本線の室蘭~東室蘭~苫小牧に導入される通勤電車。同区間は電化されているがキハ143形気動車などが運用されており、これを置き換える。JR北海道の通勤電車としては初めてワンマン運転に対応。車体は桜色で装飾し、車内座席はロングシート。中央部にフリースペースを設ける。
福井鉄道:F2000形(2023年春)
F1000形と同じ超低床・連節車体の路面電車。車内はF1000形がクロスシートを主体としているのに対し、F2000形はロングシート。これにより通路幅を広くするほか定員を増やし、朝夕ラッシュ時の混雑緩和を図る。3両1編成が春にデビューする予定。
東武鉄道:N100系「SPACIA X」(2023年7月15日)
東武日光線・鬼怒川線の特急列車に導入される電車。従来車の100系「スペーシア」の後継車両に位置付けられている。浅草寄りの前面展望を独占的に楽しめるラウンジタイプの7人用個室「コックピットスイート」や横1列3席の「プレミアムシート」を設けた車両を連結するなど豪華な仕様が特徴。24両(6両編成4本)が導入される計画。
宇都宮ライトレール・宇都宮市・芳賀町:HU300形「ライトライン」(2023年8月)
75年ぶりとみられる完全新設の路面電車線「芳賀・宇都宮LRT」が8月に開業する予定。車両も同線向けに新造されたHU300形が導入される。3車体連節の超低床式を採用し、1編成の長さは30m弱と日本の路面電車としては最大級だ。
芳賀・宇都宮LRTは宇都宮市と芳賀町が施設を保有し、第三セクターの宇都宮ライトレールが両市町から施設を借り受けて運行する。開業時には17編成が運用される予定。
泉北高速鉄道:9300系電車(2023年夏)
南海電鉄の8300系をベースとした通勤型電車で、車内外は泉北高速鉄道独自のデザインを採用した。8両(4両編成2本)が導入される計画で、南海高野線への乗り入れ区間を含む難波~和泉中央で運用される。
南阿蘇鉄道:MT-4000形(2023年中?)
新潟トランシスの軽量気動車「NDC」シリーズの新型車両。熊本地震で被災し一部区間の運休が続く南阿蘇鉄道では、夏に予定されている全線復旧にあわせJR豊肥本線への乗り入れを行うことが考えられており、MT-4000形はJR線への乗り入れに対応した保安装置を搭載した。
老朽化した既存の気動車の更新用として2両が現地搬入済み。営業運転の開始時期は未発表だが2023年中にはデビューするとみられる。
JR西日本:227系(岡山・備後エリア)(2023年度以降)
国鉄時代に製造された普通列車用の電車の更新用として開発され、これまで広島エリアと和歌山エリアに導入されている。岡山・備後エリア向け227系はピンク色をシンボルカラーとしてデザインされる。
JR西日本は2023年度(2023年4月~2024年3月)以降に2両編成と3両編成の合計101両を導入して山陽本線などで運用すると発表している。仮に2023年度中に最初の車両が導入される場合でも来年2024年の1~3月になる可能性もある。
《関連記事》
・東武が駅ポスターで無断使用の画像「著作物ではない」裁判で主張、棄却求める
・2023年の鉄道路線どう変わる? 「新線」「新駅」「廃線」「廃駅」「地下化」など