京成電鉄は成田空港アクセス特急「スカイライナー」に「顔パス」で乗車できる顔認証サービスを導入し、切符売場の混雑の緩和を目指す。同社はサービス開始に先立つ1月23日、京成上野駅で顔認証サービスの実演を報道関係者に公開した。

顔認証サービスの利用に際しては、ネット予約サービス「Skyliner e-ticket」のウェブサイトで事前に顔と乗車日を登録する必要がある。この登録を行った京成電鉄の社員が自動改札機の入口に設置されたカメラ付きタブレットに顔を近づけたところ、タブレットの画面が緑色に変わり、「ピポーン」というチャイムが鳴った。




これにより顔認証が行われ、直近に発車する「スカイライナー」の座席が自動的に確保される。そのまま自動改札機を通ると、出口近くに設置された発券器から乗車券とスカイライナー券が一体になった切符が出ており、「スカイライナー」の号車番号や座席番号などが記されていた。駅の窓口や自動券売機に立ち寄る必要はない。


改札口からホームまでの移動時間を考慮し、実際は直近の「スカイライナー」の発車時刻まで2分を切った場合は、次に発車する「スカイライナー」の座席を確保。直近の「スカイライナー」が満席の場合も次の「スカイライナー」の座席を確保する。


京成電鉄によると、空港では入国審査や手荷物の受け取りなどで時間がかかることもあり、実際にどの時刻に発車する「スカイライナー」に乗れるかは駅に到着してみないと分からない面がある。そのため、訪日客は空港駅に着いてから「スカイライナー」の切符を買う割合が多い。こうしたことから、利用する列車や座席の確定は事前登録の時点ではなく、改札口での認証時点にしたという。
「スカイライナー」は東京都心と成田空港を直結する、全席指定の特急列車。乗車には乗車券類に加え、乗車日や列車、座席を指定したスカイライナー券が必要だ。スカイライナー券は駅の窓口や自動券売機で販売している。
京成電鉄によると、訪日客はオンライン旅行代理店(OTA)で切符の引換券を購入することが多い。この場合は乗車前に駅の窓口や自動券売機で引換券の購入情報を提示、または入力して切符に引き換える必要がある。このため、成田空港内にある空港第2ビル駅と成田空港駅ではインバウンド需要の回復に伴い、一部の時間帯は窓口と自動券売機の混雑が激しくなっていた。

こうしたことから京成電鉄は、駅の窓口や自動券売機に立ち寄ることなく「スカイライナー」を利用できるよう、同業他社での実証実験例がある丸紅の顔認証システムに着目。京成電鉄の座席予約システムと丸紅の顔認証プラットフォームを活用した乗車システムを構築したという。
顔認証による「スカイライナー」の乗車サービスは1月24日から開始。京成上野・日暮里(北改札口=A改札のみ)・空港第2ビル・成田空港の4駅に導入する。
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