JR東日本の燃料電池試験車「FV-E991系」日立・トヨタが開発参加 愛称は「ひばり」



JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車の3社は10月6日、水素燃料の燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両「FV-E991系」(2両編成1本)を連携して開発すると発表した。同時にFV-E991系の愛称を「HYBARI(ひばり)」とすることや、車体のデザイン・ロゴマークも発表された。

FV-E991系「HYBARI(ひばり)」のイメージ。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】

JR東日本は2018年、同社グループの経営ビジョン「変革2027」のなかで「水素エネルギーによる燃料電池車両の開発」を盛り込み、翌2019年にFV-E991系の開発を発表。世界で初めて70MPaの高圧水素を利用できる燃料電池車両とし、これにより走行距離を延ばすことが可能になるとした。

3社は今回、FV-E991系を連携して開発することで合意。主回路用蓄電池と電力変換装置は日立製作所が開発し、燃料電池装置はトヨタ自動車が担当する。

FV-E991系「HYBARI」の側面イメージ。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】
FV-E991系の動力システムのイメージ。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】

3社によると、JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術、日立製作所はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、トヨタ自動車は燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」や燃料電池バス「SORA(ソラ)」の開発で培った燃料電池の技術を持っている。自動車で実用化されている燃料電池を鉄道に応用することで、自動車より大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御を目指した燃料電池ハイブリッド車両の試験車両を実現するという。

愛称の「HYBARI」は「HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」の略。「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージし、名称を決めた。「HY」には水素(HYdrogen)の意味とともに、「HYB」でハイブリッド(HYBrid)の意味を込めたという。

「HYBARI」ロゴのイメージ。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】

車体は青や水色をベースにデザイン。「燃料電池の化学反応から生まれる水を、碧いしぶきと大地を潤すイメージでとらえ、スピード感と未来感を持たせた車両デザイン」にしたという。また、鳥のヒバリは「春の訪れを告げる鳥」として知られることから、ロゴマークは「大地に春の息吹を吹き込むように、車両に新しいエネルギーを吹き込むイメージ」でデザインしたとしたとしている。

「HYBARI」ロゴの掲出イメージ(先頭部)。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】
「HYBARI」ロゴの掲出イメージ(側面)。【画像:JR東日本・日立製作所・トヨタ自動車】

実証実験は2022年3月頃、横浜市内と川崎市内のJR線で開始する予定。鶴見線や南武線の尻手支線、南武線・尻手~武蔵中原間で実施する。