広電グループの電車・バス4社は3月30日から、「簡易型ICOCA端末」によるサービスを開始する。従来通り全国交通系ICカードで4社の電車・バスを利用できるが、利用方法やサービス内容は一部に変更・制限がある。広島電鉄とJR西日本が3月5日、簡易型ICOCA端末の導入日などを発表した。

簡易型ICOCA端末を導入するのは、広島電鉄が電車・バス全線。ただし高速バス広島~松江線・米子線は対応しない。芸陽バスは安芸津海風バスを除く全線に導入。みどり坂タウンバスはバスICOCAシステムが導入済みだ。備北交通は高速バス東城・庄原~広島線、高田南部線に導入。HD西広島(ボン・バス)は全線に導入する。
全国交通系ICカードを利用する場合、電車・バスともに運賃割引は電車の障害者・介護者割引を除き従来通り適用しない。残額不足には対応せず、全額を現金払いする必要がある。電車・バス車内でのチャージは3月29日で終了。3月30日以降はチャージできなくなる。
広島電鉄の電車で全国交通系ICカードを利用する場合、降車時に乗務員がいるドア付近の端末にタッチすると、自動的に運賃が引き去られる。乗車時のタッチは不要で、すべてのドアから乗車できる。
乗り換え指定電停で乗換制度の利用を希望する場合は現金利用客と同じ扱い。最初の電車で運賃を支払ったあと、乗務員から乗換券を受け取る必要がある。自動では適用されない。市内線再乗車サービスは3月29日で終了し、3月30日以降は適用しない。


4社のバスを全国交通系ICカードで利用する場合は、乗車時の端末へのタッチは不要だが整理券を取る必要がある。降車時は整理券を乗務員に提示したうえで運賃箱に投入。乗務員が金額の設定を行ったあと、端末にタッチする。


広島電鉄など広島エリアの公共交通は2008年に地域交通系ICカード「PASPY」を導入。2018年からはICOCAなど全国交通系ICカードもPASPYエリアで利用できるようになった。他地域のICカードエリアでPASPYを利用することはできない。
PASPYの更新に高額な費用がかかることから、広島電鉄はQRコードベースの新乗車券システム「MOBIRY DAYS」を昨年2024年から順次導入。今年2025年3月29日限りでPASPYのサービスを終了する。全国交通系ICカードは簡易型端末で対応することを発表していた。

ほかのPASPY導入各社も、広電グループのバスはPASPYからMOBIRY DAYS・簡易型ICOCA端末に移行。その一方、アストラムラインを運営する広島高速交通など広電グループを除く鉄道・バスの一部はMOBIRY DAYSを導入せずICOCAを導入しており、対応が分かれている。
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