JR東海は2月20日、山梨リニア実験線で走行試験を行っているL0系改良型試験車について、新しい中間車を投入すると発表した。新たに投入される中間車は1両で記号番号は「M10(えむじゅう)」。環境負荷軽減などの開発成果を反映したという。

車体表面はリブレットフィルムを適用。あわせて台車周りの形状も最適化して空気抵抗を16両換算で約1%削減し、消費電力の低減を図る。リブレットフィルムはサメの肌を模倣した微細な溝構造のフィルムで、昨年2024年8月から現行車両に適用して走行実験を実施している。新製車両に適用するのはM10が初めてだ。


車両の設計は高温超電導磁石専用にして機器構成を最適化する。従来は冷凍機で液化したヘリウムにより磁石をマイナス269度まで冷却していたが、高温超電導磁石はマイナス255度まで冷凍機で直接冷却。これにより液体ヘリウムを不要にするほか、磁石内の配管も不要にすることで低コスト化を図ることができる。

JR東海はM10の内外装のイメージも公表した。外装は無塗装のシルバーボディにゴールドのラインを配したデザイン。ゴールドは「高速に流れる光」をイメージしたという。客室は天井や壁面を白、座席は茶色と黒の2色でデザインされている。JR東海は「白色の客室空間に落ち着いた色味の腰掛を配置し、シンプルかつ洗練されたインテリアデザイン」としている。
M10は日立製作所と日本車両が設計し、日立製作所が製作。夏から走行を開始する予定だ。

山梨リニア実験線は、山梨県の笛吹市境川~上野原市秋山に建設された、全長42.8kmの超電導リニアモーターカー実験線。2027年以降に開業予定のリニア中央新幹線の一部を構成する。

L0系はリニア中央新幹線の営業仕様車両として開発され、2013年から走行試験を開始。2020年に改良型試験車も導入されている。
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