えちごトキめき鉄道の運賃改定「延期」値上げ率も縮小へ 近く申請



えちごトキめき鉄道(トキ鉄)は2月6日、同社の運賃改定計画を見直すと発表した。改定時期を従来の計画より半年延期するとともに、値上げ率も縮小する。近く国土交通省の北陸信越運輸局に運賃の変更認可を申請する考え。

えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの能生駅。【撮影:草町義和】

トキ鉄は2021~2025年度の中期経営計画(中計)で、今年2025年4月1日に平均1.2倍の値上げを行うことを盛り込んでいた。しかし利用者の負担が増えることは「大変心苦しく考えております」とし、そのうえで「少しでも負担を軽減できるよう」改定時期を半年延期して10月1日に変更。値上げ率は従来計画の1.2倍から1.18倍に抑えるとしている。

現在の想定では、高田~新井の10.0kmは普通旅客運賃で現行280円から50円値上げの330円に。高校通学1カ月の定期旅客運賃は現行5020年から900円値上げの5920円になる。糸魚川~直江津38.8kmの普通旅客運賃は、現行900円のところ170円高い1070円だ。このほか、他社線との乗継割引は通学定期旅客運賃を除いて廃止する方針。トキ鉄は運賃改定により旅客収入が年間約7200万円増える見込みとしている。

トキ鉄は北陸新幹線・長野~金沢の延伸開業(2015年)に伴い新潟県上越地方の並行在来線を引き継いだ第三セクター。妙高はねうまライン・妙高高原~直江津(旧・信越本線)と日本海ひすいライン・直江津~市振(旧・北陸本線)を運営している。

妙高はねうまラインの妙高高原駅。【撮影:草町義和】

トキ鉄は2020年4月にも平均約30%の値上げを実施している。同社によると、中計では2021~2025年度の営業収益を172億3100万円としていたが、2021~2023年度の実績と2024~2025年度の見込み・予定を合計した額は中計を上回る178億3500万円の見込み。当期純損益も2021~2025年度の合計で8億1700万円の赤字を見込んでいたが、これより縮小して7億3300万円の赤字になる見込みだ。

その一方、沿線地域の想定以上の人口減少に加え、コロナ禍の影響や物価高騰など厳しい状況が続いていることから、運賃改定自体は実施する。

仮に変更認可を受けて運賃改定を実施しても赤字の経営構造は変わらず、急激な人口減少による利用者減少や施設の修繕や大規模な更新などを考慮すると、数年後には資金ショートの恐れもある状況に置かれている。現在は新潟県や沿線自治体と新たな支援スキームの策定に向けた協議を続けているという。

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