鉄道趣味団体「鉄道友の会」は5月23日、第64回(2024年)のローレル賞(優秀車両)として宇都宮ライトレールのHU300形電車を選定したと発表した。
HU300形は2023年8月に開業した路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)「ライトライン」の車両として製造された、3連節の低床式電車。HU300形を含むライトラインの施設や車両は宇都宮市と栃木県芳賀町が保有し、第三セクターの宇都宮ライトレールが両市町から施設や車両を借り入れて運行している。
HU300形の全長は法令上の限界となる約30mで、低床式車両の定員としては最大の159人を誇る。一般アンケートの結果を受けて車両前面に大型曲面ガラスを採用し、黄色をベースにしたデザインが特徴だ。
鉄道友の会は「新規開業のLRT路線における、インパクトのあるデザインの車両であることから、社会的にも大変に注目されるとともに、次世代のLRTを期待させるポテンシャルの高さ」からローレル賞に選定したとしている。
その一方、鉄道友の会はHU300形に対し意見も付けた。ライトラインはICカードでの利用を基本にデザインされ、HU300形の車内にはICカードの読取機が設置されているが、実際の運用ではICカードを持たない客の乗降に時間がかかり遅れが生じる事態が発生した。鉄道友の会は「駅等の地上側設備や乗車券システム全体の改良など、信用乗車の今後に向けた検討が望まれる」とした。
また、HU300形の運転最高速度は70km/hとされているが、法令上の制限のため実際の最高速度は40km/hに抑えられている。鉄道友の会は「高速域での走行安定性に改良の余地が感じられるので、今後の改善努力が望まれる」とした。鉄道友の会がブルーリボン賞・ローレル賞の選定車両に対し、発表時に改善を求めるなどの意見を付けるのは異例だ。
鉄道友の会はこのほか、大阪メトロの400系電車もローレル賞に選定。ブルーリボン賞は東武鉄道のN100系特急型電車「SPACIA X(スペーシアX)」が受賞した。
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