石川県や能登半島の市町で構成される石川県能登地域公共交通協議会は、地域交通法に基づく「石川県能登地域公共交通計画」の案をまとめた。のと鉄道については新型車両を導入するなど鉄道事業再構築事業の実施を盛り込んだ。1月20日から計画案に対する意見を一般から募集している。

計画案によると、のと鉄道の鉄道事業再構築事業の計画期間は来年度2025年度から2034年度までの10年間。同社の普通列車を新型車両に更新する。
新型車両はディーゼルエンジン発電機で発電した電気で走行する電気式気動車を採用。振動の抑制による乗り心地の改善や加速性能の向上による速達性の確保、環境負荷の軽減を図る。2025年度から製造し、2026年度から2029年度にかけて順次導入。地域住民や観光客が愛着を持ち利用したくなる車両となるよう、車体にキャラクターをデザインしたラッピングを施すなどの工夫を凝らすとしている。
このほか、レールや枕木など既存設備の改良、キャッシュレス化に対応したデジタル乗車券の導入、列車待ち環境の改善、二次交通との接続強化、ホームのかさ上げなどによるバリアフリー対策の推進を行う方針だ。
再構築事業の事業費は10年間で約75億円の見込み。このうち車両関係が34億円、車両関係以外の設備投資が10億円、維持修繕などが27億円になる。推定では2034年度の利用者数が42万4000人で約1500万円の赤字。再構築事業を実施した場合は利用者数が約4万人多い46万5000人で収支均衡を見込む。
意見募集の期間は今年2025年2月21日まで。石川県企画振興部交通総合対策監室交通政策課が郵送・ファクス・電子メールで受け付ける。
のと鉄道は1987年に設立された第三セクター。翌1988年、国鉄の特定地方交通線でJR西日本が暫定的に運営していた能登線・穴水~蛸島の運営を引き継いだ。1991年には能登線に接続しているJR七尾線の一部区間(七尾~輪島)の運行も引き継いだが、2001年に七尾線の穴水~輪島を廃止。2005年には能登線も廃止した。
現在の運行区間は七尾線・七尾~穴水の33.1km。昨年度2023年度の輸送密度は604人で、一定の公的支援がないと厳しい状況だ。これに加えて2024年1月の能登半島地震で甚大な被害が発生。こうしたことから経営安定化と持続可能性の確保を目指し、鉄道事業再構築事業の実施が計画された。

現在の車両は、2005年に導入した普通列車用のNT200形気動車7両と2015年に導入した観光列車用のNT300形気動車2両で、どちらも液体式だ。NT200形は導入から20年になり老朽化が課題になっている。国鉄・JR以外で電気式気動車を採用した例としては、相鉄のキハ1000形(1935年)がある。
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