「ドクターイエロー」T4編成はリニア・鉄道館で展示 T3編成「玉突き」で北陸へ



JR東海は1月15日、まもなく引退する「ドクターイエロー」こと新幹線電気軌道総合試験車の923形電車(T4編成)について、引退後は同社の展示施設「リニア・鉄道館」(名古屋市)で展示すると発表した。

リニア・鉄道館での展示が決まった923形T4編成。【撮影:草町義和】

これに伴い、923形の前の「ドクターイエロー」である922形電車(T3編成)は、リニア・鉄道館での展示を終了。「玉突き」で北陸の展示施設へ移転する見込みだ。

リニア・鉄道館で展示されるのは、T4編成の7両のうち先頭車の7号車。T3編成の先頭車が現在展示されている場所に設置する。展示開始は6月ごろの予定。T3編成の先頭車は所有者であるJR西日本に返却される。

JR西日本に返却されるリニア・鉄道館の922形T2編成。【画像:レイ5100/写真AC】

T3編成の先頭車は今後、石川県の白山市立高速鉄道ビジターセンター(トレインパーク白山)に移って展示される見込み。トレインパーク白山は新幹線を中心とした鉄道の展示施設で、北陸新幹線の車両基地(白山総合車両所)に隣接している。昨年2024年3月にオープンした。

白山市によると、JR西日本から「トレインパーク白山で(「ドクターイエロー」を)展示することができないかという提案があった」という。同市は受入体制を整えるため、2024年度の12月補正予算で「ドクターイエロー展示事業」(1000万円)を計上。「トレインパーク白山2年目の目玉として、さらなる誘客を期待」するとしている。

「ドクターイエロー」は走りながら線路のゆがみや架線の状態などを調べる新幹線用の検測車。車体を黄色で塗装していることから「ドクターイエロー」と呼ばれるようになった。

新幹線の検測車は黄色い車体から「ドクターイエロー」と呼ばれた。【画像:RyoF0610/写真AC】

東海道・山陽新幹線の「ドクターイエロー」は国鉄末期の時点で0系電車をベースにした922形が14両(T2・T3の7両2編成)あり、1987年の国鉄分割民営化ではT2編成をJR東海、T3編成をJR西日本がそれぞれ引き継いだ。その後、922形の後継車両として700系ベースの923形が開発され、JR東海が2000年に導入(T4編成)。JR西日本も2005年に導入(T5編成)した。

923形の導入から20年以上が過ぎた2024年6月、JR東海とJR西日本は923形の引退を発表。今後は営業用車両のN700Sに検測装置を搭載して線路や架線の検査を行う。JR東海のT4編成は今年2025年1月をもって検測走行を終了して引退。JR西日本のT5編成も2027年以降をめどに検測走行を終了する予定だ。

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