阪堺電軌「10円値上げ」認可上限額の範囲内で運賃改定



大阪市と堺市を結ぶ路面電車を運行している阪堺電軌は12月26日、軌道旅客運賃を改定すると発表した。同日、国土交通省の近畿運輸局長に運賃改定を届け出た。普通旅客運賃で4.34%値上げする。改定日は来年2025年4月1日。

阪堺電軌の電車。【撮影:草町義和】

阪堺電軌の普通旅客運賃は現在、全線230円の均一制。今回の改定では10円値上げして240円にする。子供運賃は現行運賃を据え置き、定期旅客運賃も通勤・通学ともに据え置く。

阪堺電軌は4年前の2020年9月に旅客運賃上限変更の認可を受けており、このとき普通旅客運賃の上限を従来より40円高い250円に設定している。ただし実際に適用する運賃(実施運賃)は230円とし、値上げ幅を20円に抑えていた。今回は認可されている上限額の範囲内での値上げになる。

阪堺電軌の超低床式電車。国や堺市の支援を受けて導入した。【撮影:草町義和】

阪堺電軌の鉄軌道部門の収支は、昨年度2023年度で収入が13億3724万3000円に対し支出は14億4921万5000円で、1億1197万2000円の赤字だった。コロナ禍の影響や電気代の高騰などで厳しい経営が続いている。

阪堺電軌によると、本年度2024年度は8922万9000円の赤字になる見通し。2025~2027年度の3年間合計の推計では、現行運賃のままなら3億9677万5000円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額が2億8851万1000円に縮小する見込みという。

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