一畑電車(島根県)は12月24日、国土交通省の中国運輸局長に鉄道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、一畑電車は来年2025年3月1日に運賃を改定する。
平均改定率は8.147%で、普通旅客運賃は10.114%の値上げ。通勤定期旅客運賃も9.948%値上げする。通学定期旅客運賃は現行運賃を据え置く。
普通旅客運賃の上限は、初乗り(1~4km)で現行170円のところ20円値上げの190円に。電鉄出雲市~出雲大社前13.2kmは50円値上げの550円、出雲大社前~松江しんじ湖温泉37.3kmでは80円値上げの900円になる。通勤定期旅客運賃の上限は1カ月の場合、雲州平田~松江しんじ湖温泉23.0kmで2230円値上げの2万3690円だ。
一畑電車によると、コロナ禍の影響を大きく受けて利用者が減少。今後もコロナ禍前の水準には戻らないと見込む。これに加えて電気代の高騰で経費が上昇しており、今後は賃金水準など雇用条件の改善も行う必要がある。こうしたことから運賃改定を申請したという。同社は新型車両の導入などでサービスの改善を進める方針だ。
一畑電車は北松江線・電鉄出雲市~松江しんじ湖温泉33.9kmと大社線・川跡~出雲大社前8.3kmを運営する地方私鉄。以前は一畑電鉄が運営していた。2006年度からみなし上下分離方式による公的支援を受けており、鉄道の運営も一畑電鉄が全額出資する一畑電車に分社化された。
2006年度の年間輸送人員は約143万人。コロナ禍前は一時的な増減はあったが、おおむね140万人前後を維持している。コロナ禍が本格化した2020年度は約100万人。昨年度2023年度は約133万人で、ピーク期(1967年、約589万人)の2割程度まで落ち込んでいる。
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