国土交通省の近畿運輸局長は12月25日、北近畿タンゴ鉄道やWILLER TRAINS(京都丹後鉄道)、京都府、兵庫県などが申請していた京都丹後鉄道の鉄道事業再構築実施計画を認定した。実施計画の期間は来年2025年4月1日から2035年3月31日の10年間。
事業費の合計は267億1000万円で、費用の一部は社会整備総合交付金を活用する予定。上下分離方式の経営体制を引き続き維持し、おもな利便確保策として「安全・安心で質の高い輸送サービスの提供」(262億3000万円)と「まちづくり・観光戦略との連携と利用促進」(2億円)、「アクセス交通や駅施設の改善などによる利便性向上」(2億8000万円)を盛り込んだ。
このうち「安全・安心で質の高い輸送サービスの提供」では、「先進車両装置を搭載した新車両」を導入。乗り心地や運行の安定性・定時性の向上を図る。新車両の導入に伴い駅のホームをかさ上げし、乗降時の段差解消も進める。ほかにも施設の修繕や更新、改良を進める。
京都丹後鉄道は宮津~福知山30.4kmを結ぶ宮福線と、西舞鶴~宮津~豊岡83.6kmの宮津線(宮舞線・宮豊線)で構成される鉄道網。宮福線は1988年に第三セクターの宮福鉄道(現在の北近畿タンゴ鉄道)の路線として開業し、宮津線は国鉄からJR西日本への暫定継承を経て1990年に北近畿タンゴ鉄道が引き継いだ。
経営再建のため2015年に上下分離方式を導入。北近畿タンゴ鉄道が施設を保有し、WILLER ALLIANCE(現在のWILLER)子会社のWILLER TRAINSが列車を運行する体制に移行している。上下分離の導入時に認定された鉄道事業再構築実施計画の計画期間は2025年3月31日までだったことから、関係各者が今年2024年10月に新たな実施計画の認定を申請していた。
2023年度は年間135万8000人が利用し、WILLER TRAINSの事業収支は3億4000万円の赤字。新たな実施計画では最終年度の2034年度で利用者数を年間160万5000人に増やし、4800万円の黒字にすることを目指す。
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