JR九州「50系」SL人吉の終了後も運行続く 国鉄客車の近代化に貢献も短期間の活躍



JR九州のSL列車「SL人吉」が3月をもって運行を終了したが、「SL人吉」で使われていた「50系客車」は当面のあいだ、ディーゼル機関車の牽引で引き続き運用される。同社はゴールデンウィークに久大本線の臨時快速列車として50系を運行するほか、50系のツアー列車も4月に3コース設定している。

ディーゼル機関車のDE10形に牽引されて走る「SL人吉」用の50系。【画像:JR九州】

ツアー列車3コースの概要は次の通り。

●夜行列車で行く!50系客車豊肥本線の旅
出発日:4月19日深夜(4月20日未明)
行程:熊本(4月20日)0時15分発→大分7時45分着
旅行代金(一人あたり):9000~3万2000円

●福岡・大分デスティネーションキャンペーン記念企画 50系客車特別運行!門司港への旅
出発日:4月20日
行程:熊本8時27分発→門司港11時03分着・15時35分発→大分18時25分着
旅行代金:1万2800円~1万5800円

●50系客車で行く!豊肥本線の魅力発見旅
出発日:4月21日
大分9時33分発→熊本16時51分着
旅行代金:1万2000円

予約はインターネット予約サイト「STORES」で受け付けている。

このほか、4月から5月にかけての計8日間、久大本線の臨時快速「ゆふいん」がディーゼル機関車牽引の50系で運行される予定だ。

「SL人吉」用の50系の車内。【画像:JR九州】

50系は国鉄時代の1977年から1982年にかけ953両が製造された、普通列車用の客車。戦前から戦後にかけ製造され老朽化が著しかった旧型客車の近代化を図るため開発された。赤い塗装の外観が特徴(荷物車は青)で、従来の旧型客車が手動ドアだったのに対し、50系は自動ドアを採用。転落事故の防止に効果を発揮した。

京都鉄道博物館で保存されている50系客車のオハフ50形。【撮影:草町義和】

1987年の国鉄分割民営化ではJR東海を除くJR旅客5社が50系を継承。1988年には青森~函館を青函トンネル経由で結ぶ快速「海峡」にも改造のうえ投入されている。しかし普通列車の電車化や気動車化が進んだため、あまり老朽化していないにもかかわらず短期間で廃車が進み、2002年までに定期列車での運用を終了。本来の目的での使用は短期間に終わった。

現在は「SL人吉」用に改造された車両や真岡鉄道がSL列車「SLもおか」用として譲り受けた車両など、わずかに残っている。

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