JR東日本は2026年3月の運賃改定にあわせ、鉄道駅バリアフリー料金を廃止することを決めた。今年2024年12月6日、運賃改定の発表にあわせて明らかにした。同料金の廃止を決めたのはこれで3社になる。
JR東日本は昨年2023年3月にバリアフリー料金を導入。山手線内を含む東京の電車特定区間で普通旅客運賃に10円を加算し、定期旅客運賃は通勤定期に280円(1カ月の場合)を加算している。2026年3月の運賃改定ではバリアフリー料金を廃止するとともに、幹線運賃より安く設定されている電車特定区間・山手線内の運賃を廃止して幹線運賃に統合。そのうえで運賃を改定するため、実際は値上げされる。
山手線内の東京~新宿10.3kmを利用する場合、現在の普通旅客運賃は紙の切符200円・ICカード198円にバリアフリー料金を加算して切符210円・IC208円。仮にバリアフリー料金を含まない現行の幹線運賃をそのまま適用した場合は切符240円・IC242円になる。さらに2026年3月の改定で幹線運賃は切符260円・IC253円に改定される予定。実質的には2割ほどの値上げで、値上げ額は切符50円・IC45円になる。
バリアフリー料金の制度は2021年12月に創設。その収入はエレベーターやホームドアなど駅のバリアフリー設備の整備費用として使うことが義務づけられている特定目的料金だ。2023年以降、JR東日本や大手私鉄を中心に導入しているが、神戸電鉄は来年2025年1月の運賃改定にあわせて廃止する計画。京阪電鉄も同年10月の運賃改定にあわせてバリアフリー料金を廃止する予定だ。いずれも運賃改定による値上げ額がバリアフリー料金の廃止分を上回るため、実質値上げになる。
JR東日本は「鉄道駅バリアフリー料金は廃止いたしますが、バリアフリー設備は継続して整備してまいります」としている。一方で運賃改定にあわせてバリアフリー料金を廃止する鉄道事業者は神戸電鉄と京阪電鉄に続いて3社になり、この制度の意義が問われることになりそうだ。
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