神戸電鉄は10月22日、第1種鉄道事業の旅客運賃上限変更認可を国土交通省の近畿運輸局長に申請した。認可された場合、神戸電鉄は来年2025年1月19日に運賃を値上げする予定。同時にバリアフリー料金を廃止する。バリアフリー料金を含む現行運賃からの平均改定率は9.841%。

普通旅客運賃の上限は、バリアフリー料金を除いた現行運賃から30~100円の値上げ。バリアフリー料金を廃止すため、実質的な値上げ幅は20~90円に抑えられる。初乗り(1区=1~2km)は現行の190円が200円を超えて210円になる。定期旅客運賃の上限はバリアフリー料金を含む現行運賃と比較した場合、4区(7~8km)で通勤が1630円値上げの1万5370円。通学は340円値上げの7010円になる。このほか、運賃改定にあわせて精神障害者割引を導入する。
神戸電鉄が運賃を値上げするのは、消費税率の引き上げやバリアフリー料金の導入を除くと1996年以来29年ぶりだ。

神戸電鉄によると、近年は電気料金や資材価格の高騰に加え人件費も上昇傾向。また、コロナ禍を契機にした「新しい生活様式」の定着もあり、輸送水準はコロナ禍前の水準には戻らないと見込む。こうしたなかで激甚化する自然災害への対応や老朽化した車両・設備の更新などを進める必要があることから、運賃改定を申請したという。
神戸電鉄は昨年2023年4月に鉄道駅バリアフリー料金を導入。普通旅客運賃の場合で10円を加算している。同料金の導入にあわせて届け出たバリアフリー整備計画では、2031年3月までにエレベーターやエスカレーターなどの整備を進めるとしていた。今回の運賃改定に伴いバリアフリー料金はわずか1年9月で廃止になる。
バリアフリー料金を廃止するのは神戸電鉄が初めてになる。同社によると、バリアフリー料金を廃止する場合でも公表済みのバリアフリー整備計画を前倒しで推進し、さらなる内容の充実を目指すという。
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