東京「都心部・臨海地域地下鉄」中央区が需要予測など調査費計上 銀座~臨海副都心



東京都中央区の2020年度予算は、一般会計の当初予算が1183億7461万円。前年に比べ14.8%増えた。鉄道関係では、東京の都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の検討調査費(1045万円)を引き続き計上。前年度2019年度に比べ545万円増えた。

「都心部・臨海地域地下鉄」の想定ルート。銀座と臨海部を結ぶ区間(赤実線)が構想され、交政審198号答申では東京駅まで拡大(赤点線)してTX東京駅延伸(青点線)と一体的に整備する考えも打ち出された。【作成:鉄道プレスネット編集部/国土地理院の地図を加工】

中央区によると、2019年度の調査では、近年の沿線地域の開発動向の整理や、新線の建設にあたって考慮が必要な事業計画の整理などを実施。本年度2020年度は、2019年度の整理を踏まえて最新の輸送需要を推計し、収支採算性や費用便益の分析などを行って新たな課題の抽出を行うという。

中央区内では築地や晴海などの臨海部で大規模開発が進められており、晴海地区で建設が進む東京オリンピック選手村も、オリンピック終了後は一般住宅に転用される計画だ。このため中央区は交通需要の増加が見込まれるとし、都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線を構想。2014~2015年度にルートや事業費などの調査を実施した。

2016年に国土交通大臣の諮問機関・交通政策審議会(交政審)がまとめた東京圏の都市鉄道のあり方(交政審198号答申)では、この構想を「都心部・臨海地域地下鉄構想」として盛り込み、さらに東京駅への延伸が構想されている常磐新線(つくばエクスプレス=TX)との一体整備を行い、TXと都心部・臨海地域地下鉄の相互直通運転を行うものとした。

2014~2015年度の中央区の調査では、都心部の銀座エリアから南東に進み、臨海副都心のりんかい線・国際展示場駅とゆりかもめ・有明駅(江東区)があるエリアまで約5kmの区間に整備することを想定。1日の推計輸送人員は約10万~14万人、事業費は概算で2410億~2580億円と試算されている。