関西大手私鉄の京阪電鉄は12月3日、鉄道事業の旅客運賃上限変更認可を国土交通大臣に申請した。認可された場合、来年2025年10月に運賃を値上げする。改定率は15.8%。運賃改定と同時に鉄道駅バリアフリー料金を廃止し、実質的な改定率は12.4%になる。
普通旅客運賃は京阪線が初乗り(1~3km)で現行160円(バリアフリー料金加算後170円)のところ180円に改定し、実質10円の値上げ。それ以外の距離帯も実質20~60円値上げするが、7kmまでの区間の改定率を抑える。京橋~枚方市18.8kmでは現行340円(バリアフリー料金加算後350円)から実質50円値上げの400円。大津線は初乗り(1~5km)が現行170円から30円値上げの200円で、6km以上の区間は40~50円値上げする。
定期旅客運賃の改定率は通勤定期で17.5%(バリアフリー料金加算後の現行運賃との比較では14.4%)。通学定期は家計負担に配慮して8.8%に抑える。15kmの区間で大人1カ月の場合、通勤定期は京阪線のバリアフリー料金加算後の現行運賃から1520円値上げの1万3670円。通学定期は現行運賃から320円値上げの4000円になる。
中之島線・鴨東線の加算運賃とケーブルカーの運賃、プレミアムカー・ライナー料金は、現行運賃・料金を据え置く。
京阪電鉄の運賃改定は消費税率の引き上げによるものを除くと1995年以来30年ぶり。同社によると、沿線の少子高齢化による利用者の減少に加え、コロナ禍を経た新たな生活様式の定着が減収に拍車をかけている。このためバリアフリー設備や車両、変電所などの施設の更新・修繕の継続が困難になっている。物価高騰などの影響で人件費や経費も今後増加することが見込まれることから、運賃改定を申請したという。
バリアフリー料金はエレベーターやホームドアなど駅のバリアフリー設備の整備費用として運賃に上乗せして徴収する料金制度。2021年12月に創設され、京阪電鉄は昨年2023年4月から京阪線の普通旅客運賃と通勤定期旅客運賃に導入していた。
バリアフリー料金の廃止は神戸電鉄(2025年1月19日廃止予定)に続いて2例目。京阪電鉄は「可動式ホーム柵(ホームドア)をはじめとするバリアフリー設備の整備、維持更新は引き続き計画的に実施してまいります」としている。
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