伊賀鉄道は11月15日、旅客運賃上限変更認可を国土交通省の中部運輸局長に申請した。認可された場合、伊賀鉄道は来年2025年2月1日に運賃を値上げする。改定率は普通旅客運賃が8.2%。定期旅客運賃は通勤が15%、通学が7%。同社が運賃改定を申請するのは、消費税率の引き上げに伴うものを除くと2007年の設立以来初めて。
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普通旅客運賃の上限は、初乗り(3kmまで)を現行200円のところ20円値上げして220円に。それ以外の距離帯は4~6kmで20円値上げし、7~17kmは30円値上げする。定期旅客運賃の上限は通勤・1カ月の場合、1~3kmで1170円値上げの8960円、15~17kmは2340円値上げの1万7930円になる。
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このほか、運賃改定にあわせて12カ月の通学定期券を新たに発売する。利用期間を4月1日~翌年3月31日の12カ月に固定したもの。発売額は1カ月の通学定期を12倍した額の16%引きになる。上野市~伊賀神戸の場合は7万1270円で、6カ月の通学定期(3万5700円)を2回購入するより130円安い。
伊賀鉄道は伊賀上野~伊賀神戸16.6kmの伊賀線を運営する第三セクター。かつては近鉄が運営していたが、現在は三重県伊賀市が線路や車両を保有して伊賀鉄道が列車を運行する上下分離方式で運営されている。
伊賀鉄道によると、伊賀線の年間輸送人員は2008年度の204万2000人をピークに減少の一途をたどっている。昨年度2023年度は45.2%減の118万8000人。コロナ禍の影響が残る2022年度(116万1000人)をも下回った。これに加えて人件費の増大や物価高騰などの影響もあり、2023年度の営業収支は1億2400万円の赤字に。「鉄道事業の存続が危ぶまれる状況」として運賃の改定を申請したという。
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