東京メトロ「座れるルート検索」国内初サービス検証 「ポジティブ情報」提供目指す



東京メトロとナビタイムジャパンの2社は10月28日、「座れるルート検索」などのサービス提供に向けた検証を始めると発表した。車両データを活用して着席できる確率を推定し、乗継検索サイトで調べることができるようにすることを目指す。2社によると、このような試みは国内初という。

コロナ禍前はラッシュ時の混雑率が国内最悪だった東京メトロ東西線。【撮影:草町義和】

この検証では、東京メトロが各線を走る車両で取得しているデータを使い、列車が駅に到着してから出発するまでの乗降状況を号車ごとに1秒間隔で解析。ナビタイムジャパンに解析結果を試験的に提供する。

ナビタイムジャパンは提供された解析結果を使い、着座できる確率を推定。同社の乗継検索サイト「乗換NAVITIME」で「座れるルート検索」や「座りやすい号車案内」の機能として提供する。

これにより、分かりやすく使いやすいデザインや最適な表示タイミングなどを検証。また、アンケート調査とアプリ活用履歴を分析し、利用頻度と実際に行動が変化しているかどうかなどサービスの有用性も検証する。

東京メトロが取得している車両データ。【画像:東京メトロ・ナビタイムジャパン】
データ取得からサービス提供までの流れ。【画像:東京メトロ・ナビタイムジャパン】

本年度2024年度内をめどに、車両データの収集や処理、着座確率を推定するためのデータ加工やシミュレーション手法の検討、確立を目指し、「乗換NAVITIME」の一部利用者を対象としたフィールドテストを行う予定だ。

2社によると、走行中の各列車における号車ごとの混雑状況は東京メトロのアプリやナビタイムジャパンのサービスなどで提供している。しかし、座って移動できるかどうかの情報は提供できていないという。2社は今回の試みで「『座れる』というポジティブな情報提供を目指します」としている。

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