「青春18きっぷ」大幅リニューアル、3日間用と5日間用の2種類に 何がどう変わる?



JRグループは10月24日、「青春18きっぷ」の2024年シーズン冬季用の発売計画を発表した。これまで通りJR線の普通列車を自由に乗り降り出来るが、有効期間や利用方法が大幅にリニューアルされる。

従来の「青春18きっぷ」。5日(回)分が1枚の切符にまとめられていた。【画像:フジノミヤ/写真AC】

利用できる期間は2024年12月10日~2025年1月10日で、前年2023年シーズンの冬季用と同じ。利用できる路線や列車、座席は2024年シーズンの夏季用と同じで、おもにJR線の普通列車の普通車自由席を自由に乗り降り出来る。

一方、従来は5日(回)分を1枚セットにして発売していたが、2024年シーズン冬季用は「3日間用」と「5日間用」の2種類を発売。今回から自動改札機に対応する。

3日間用は期間中の連続する3日間に限り、一人で利用可能。5日間用も期間中の連続する5日間に限り一人で利用できる。発売期間は3日間用が2024年11月26日~2025年1月8日(1月8日出発分まで)で、5日間用は2024年11月26日~2025年1月6日(1月6日出発分まで)。

発売額は大人・子供同額で、3日間用が1万円。5日間用は従来の「青春18きっぷ」と同じ1万2050円だ。

新たに発売される3日間用の「青春18きっぷ」のイメージ。【画像:JRグループ】
5日間用の「青春18きっぷ」のイメージ。従来の「青春18きっぷ」と同額だ。【画像:JRグループ】

北海道新幹線と道南いさりび鉄道線が片道利用できるオプション券「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」もリニューアル。北海道新幹線の利用区間を従来の奥津軽いまべつ~木古内から新青森~木古内に拡大する。利用できる列車と座席は従来通りで、新青森~木古内で北海道新幹線の普通車の空席、木古内~五稜郭で道南いさりび鉄道線の普通列車を利用できる。

利用期間は「青春18きっぷ」と同じで、発売期間は2024年11月26日~2025年1月10日。切符は北海道新幹線用と道南いさりび鉄道線用の2枚に分けて発券し、北海道新幹線では自動改札機を利用できる。発売額は大人・子供同額で4500円。

2枚構成になる北海道新幹線オプション券のイメージ。利用区間が拡大される。【画像:JRグループ】

「秋の乗り放題」に準じた内容に

「青春18きっぷ」は国鉄時代の1982年春、「青春18のびのびきっぷ」として発売開始。当初は2日券1枚と1日券3枚の5日分セットで、回数券のような4枚つづりだった。国鉄(JR)全線の普通列車の普通車自由席が乗り放題という効力は、このときから変わってない。

1982年夏は2日券1枚と1日券4枚(6日分)の5枚つづりに変わり、1983年春から切符の名称が現在の「青春18きっぷ」に。1984年夏から1日券5枚(5日分)に変わった。1996年春からは5日(回)分を1枚の切符にまとめた方式に変わり、これが2024年シーズンの夏季用まで続いていた。

「青春18きっぷ」で自由に乗り降りできるJR線の普通列車。【撮影:草町義和】

今回のリニューアルは「秋の乗り放題きっぷ」に準じた内容といえる。この切符は秋季の指定された期間中、連続する3日間に限り利用できる。それ以外は「青春18きっぷ」とほぼ同じ内容で、JR線の普通列車の普通車自由席が乗り放題。北海道新幹線と道南いさりび鉄道線を利用できるオプション券も設定されている。

従来の「青春18きっぷ」なら、たとえば12月22~26日と5日間連続で利用するだけでなく、12月22・25・26・28・30日のように日をあけて5日分利用することもできた。新たに発売される3日間用と5日間用では、こうした利用はできなくなる。

利用開始日を12月22日とした場合、3日間用は12月22~24日のみ有効で25日以降は利用できない。5日間用は12月22~26日のみ利用できるが、27日以降は利用できない。また、利用開始日を購入時に決めておく必要があるため、とりあえず買っておいてから旅程を決めるといったことも難しくなる。

5日間用は「連続する5日間」利用できる。【画像:ぱすてる/イラストAC、加工:鉄道プレスネット】
従来の「青春18きっぷ」のように日をあけて利用することはできない。上記例(赤丸は利用日)の場合、12月22日に5日間用の利用を開始するなら22・25・26日は利用できても、28・30日は利用できない。【画像:ぱすてる/イラストAC、加工:鉄道プレスネット】

このほか、従来の「青春18きっぷ」は同一行程なら1日(回)分を一人として複数人で利用することも可能で、5人が1日だけ利用するといったことができた。2024年シーズン冬季用では複数人での利用ができなくなり、切符の券面にも「1枚で1名での利用(複数名利用不可)」と明記される。

新しい「青春18きっぷ」は一人利用(左)のみ。複数人の利用(右)はできなくなる。【画像:いらすとや、加工:鉄道プレスネット】

1日あたりの価格でみると、従来の「青春18きっぷ」が2410円。今回から発売される5日間用も同じだが、3日間用は約3333円で実質900円以上の値上げになる。「秋の乗り放題きっぷ」は2024年シーズンの発売額が大人7850円・子供3920円で、大人の場合は1日あたり約2617円。「青春18きっぷ」の3日間用はこれより700円以上高い。

従来の「青春18きっぷ」は購入時に利用者や利用開始日を指定する必要がないうえに期間中の任意の日に利用できるなど自由度が高かった。このため、1日(回)だけ使って残り4日(回)分を金券ショップに転売したりネットオークションに出品するなど、ルール上は想定されていない利用方法が事実上定着していた。

今回のリニューアルでこうした利用は難しくなり、金券ショップでの「青春18きっぷ」の取り扱いやネットオークションへの出品は大幅に減るとみられる。一部の金券ショップのウェブサイトでは、2024年シーズン冬季用の「青春18きっぷ」は買い取りできない旨の案内が出された。

オプション券は北海道新幹線の利用区間が新青森~木古内に拡大されると同時に値上げされる。【画像:写真AC】

オプション券は従来、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅に停車する列車や道南いさりび鉄道線の列車が少ないこともあり、使い勝手が悪かった。また、奥津軽いまべつ駅へのアクセス路線である津軽線は2022年8月の水害で、津軽二股駅(奥津軽いまべつ駅の最寄駅)を含む蟹田~三厩が運休中。「青春18きっぷ」で代行バスを利用できるが、蟹田~三厩は廃止されることが決まっており、奥津軽いまべつ駅へのアクセスをどうするかが課題になっていた。

今回のリニューアルで北海道新幹線の利用区間が新青森~木古内に拡大し、利用できる列車が実質的に増加。津軽線の一部廃止によるアクセスの問題も解消される。一方で発売額は従来(2490円)より2000円以上の値上げ。ただし新青森~五稜郭の所定の運賃・料金との比較では1750円安くなる。

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