国土交通大臣は10月29日、JR北海道が申請していた旅客運賃の上限変更を認可した。これを受けてJR北海道は来年2025年4月1日に運賃と一部の料金を値上げする。改定率は全体で7.6%。

普通旅客運賃の改定率は6.6%。初乗り(3kmまで)は幹線・地方交通線ともに現行200円のところ10円値上げの210円になる。幹線は50kmで80円値上げの1210円、100kmで140円値上げの2240円。141km以上は各距離帯ごとに330円値上げする。地方交通線は50kmで90円値上げの1380円、100kmで160円値上げの2480円。129km以上は各距離帯ごとに330円の値上げだ。
札幌駅からのおもな区間の運賃(カッコ内は値上げ額)は、小樽駅までが800円(50円)で新千歳空港駅までは1230円(80円)。旭川駅までは3080円(220円)だ。長距離主要都市間は札幌~函館が6600円、札幌~釧路が7150円、札幌~網走が7700円、札幌~稚内が8250円で、いずれも330円値上げされる。


定期旅客運賃の改定率は18.9%。普通旅客運賃の改定分を反映させたうえで割引率を引き下げるため、大幅な値上げになる。通勤定期は22.5%で2割以上の値上げ。通学も10.5%で普通旅客運賃の改定率を上回る。大人・1カ月の場合、幹線20kmの区間は通勤で現行1万4100円のところ2650円値上げの1万6750円。


千歳線支線・南千歳~新千歳空港の加算運賃や北海道新幹線を含む特急料金、グリーン料金、座席指定料金などは現行額を据え置く。ただし北海道新幹線のグランクラス料金は食事や飲み物などの車内サービスが受けられる「グランクラス(A)」を1760円値上げし、100kmまで8300円、200kmまで9800円になる。普通入場券は初乗りと同額で10円値上げの210円。


JR北海道は人口減少に加え、コロナ禍に伴うリモート会議の普及など新たな行動様式の定着、物価高騰に伴う修繕・設備投資に係る費用の増加などで厳しい経営が続いている。2023年度の鉄道事業の営業収支は574億円の赤字を計上した。一方で安全確保のための設備投資や修繕費の確保が必須な状況のため、JR北海道は今年2024年6月に運賃改定を申請した。
国土交通省によると、2025~2027年度の3年間平均の収支見込みは現行運賃のままなら325億7600万円の赤字だが、運賃を改定した場合は288億2600万円の赤字で赤字額が37億5000万円縮小するという。
JR北海道の綿貫泰之社長は認可を受け「弊社グループをあげて徹底した経営努力を行うことを前提に、関係者からのご支援をいただきつつ、お客様にも一部ご負担をお願いさせていただくこととなりますが、ご理解を賜りますようお願いいたします」などとのコメントを出した。
《関連記事》
・JR北海道「運賃改定」申請 初乗り200円→210円、札幌~小樽は50円値上げ
・「北海道&東日本パス」2024年シーズン冬季用は部分的な変更にとどまる