JR北海道は10月14日、年末年始に実施する北海道新幹線の青函トンネル(青森県・北海道)内での高速営業運転の詳細を発表した。最高速度を現在の160km/hから50km/h引き上げて210km/hとする。
実施期間は12月31日から来年2021年1月4日の5日間。6時30分から15時40分のあいだに上下計14本の列車が最高速度210km/hで走り、所要時間を3分短縮する。
高速営業運転を行う列車は次の通り。このうち「はやぶさ7・13号」は、東京~新函館北斗間を最短の3時間55分で結ぶ。また、北海道新幹線の列車に接続する函館本線の快速・普通列車「はこだてライナー」も、一部の列車(11本)で時刻変更を行う。
●下り(新函館北斗行き)
はやて91号
はやて93号
はやぶさ95号
はやぶさ1号
はやぶさ7号
はやぶさ13号
はやぶさ19号
●上り(新青森方面行き)
はやぶさ10号
はやぶさ14号
はやぶさ18号
はやぶさ22号
はやぶさ28号
はやぶさ32号
はやぶさ34号
■東北新幹線でも高速化の計画進む
北海道新幹線の最高速度は、現在工事中の新函館北斗~新札幌間(2030年度末開業予定)も含め260km/h。ただし、青函トンネルとその前後の区間の約82kmは在来線(海峡線)と線路を共用しており、貨物列車とのすれ違いの影響を考慮して、青函トンネル内の約54kmは160km/h、それ以外の共用区間は140km/hに抑えられている。
JR北海道は東京~札幌間を最短4時間半で結ぶことを目指しており、その一環として青函トンネル内の高速化に取り組んでいる。今回行われる青函トンネル内での210km/h運転もその一環。新幹線列車と貨物列車が走る時間帯を分けることで貨物列車とのすれ違いをなくす。
JR北海道はこのほか、新函館北斗~札幌間の最高速度を現行計画の260km/hから320km/hに引き上げることを考えている。2019年には、320km/hで運転するのに必要な追加工事の費用(約120億円)を自社負担するとして国土交通省に要請。現在は北海道新幹線を建設している鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)と調整中だ。320km/h化が実現した場合、同区間の所要時間は現在の計画より5分程度短縮される。
JR東日本も北海道新幹線の札幌開業を視野に入れ、東北新幹線の高速化に取り組んでいる。
東北新幹線の最高速度は現在、東京~大宮間が110km/h、大宮~宇都宮間が275km/h、宇都宮~盛岡間が320km/h、盛岡~新青森間が260km/h。このうち東京~大宮間は、来年2021年春に130km/hに引き上げられ、1分程度の短縮が図られる。
今年2020年10月には、JR東日本が盛岡~新青森間の速度向上計画を発表。おおむね7年かけて工事が行われる。工事が完了すると、最高速度は320km/hに引き上げられ、所要時間が5分程度短縮される。
東北・北海道新幹線の高速化を想定した車両の開発も進められている。JR東日本は2019年、営業最高速度360km/hを想定した試験車両のE965形電車「ALFA-X(アルファエックス)」を開発し、東北新幹線で走行試験を行っている。