高速鉄道「世界最長」海底トンネルの工事、シールドマシンが海底部に進入 中国



中国沿岸部の舟山群島に乗り入れる鉄道新線「甬舟鉄道」の工事が節目を迎えた。10月22日、海底トンネルを掘削する2台のシールドマシンのうち1台が陸地部の掘削を終え、海底部に進入した。中国メディアの『科技日報』などが報じた。

海底部に入った甬舟鉄道のシールドマシン「定海号」。【画像:中国鉄道建築集団/中国国務院】

甬舟鉄道は上海から南へ約150kmの寧波と舟山群島を結ぶ鉄道の計画。金塘山や冊子島を経て舟山島に至る。全長約77kmのうち約16kmが海底トンネルの「金塘海底トンネル」で、このうち約11kmをシールド工法で建設。寧波側から海底に向け4940mを掘削するシールドマシン「甬舟号」と、舟山側から海底に向け約6270mを掘削するシールドマシン「定海号」を使用する。

5月から「甬舟号」「定海号」が同時に掘削を開始。「定海号」はこれまでに1000m近くを掘削し、10月22日に陸地部から海底部に入った。「甬舟号」は陸地部の約900mを掘削済み。来年2025年5月には海底部に入る予定だ。

金塘海底トンネルを含む甬舟鉄道の最高速度は250km/hの計画。科技日報などは「金塘海底トンネルは高速鉄道の海底トンネルとしては世界最長になる」と報じている。

甬舟鉄道のルート(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

北海道新幹線と在来線が共用している津軽海峡の海底トンネル(青函トンネル、全長約54km)や、英国とフランスを結ぶ英仏海峡トンネル(ユーロトンネル、全長約50km)でも高速列車が運行されているが、どちらも通常は最高速度が160km/hに抑えられている。ただし青函トンネルでは現在、在来線の貨物列車が少ない時期に限り北海道新幹線の最高速度を引き上げており、今年2024年のゴールデンウィークやお盆期間は260km/hで運転した。

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