北大阪急行電鉄などは7月10日、北大阪急行線の延伸事業の土木工事について、2023年度の土木学会賞を受賞したと発表した。

受賞者は北大阪急行と阪急設計コンサルタント、熊谷組・フジタ・森組特定建設工事共同企業体。「高層建築直下のシールド掘進と不飽和地盤凍結工法の開発」について「技術賞(Iグループ)」を受賞した。
選定理由によると、この延伸事業の土木工事では新設するトンネルの直上建築物に対して影響を及ぼさないよう、土かぶりや建築物の荷重条件に合わせた高精度で連続的なシールドトンネルの掘進管理が進められた。不飽和地盤内の残置土留壁には、懸濁型薬液と組み合わせた新しい凍結工法による非開削工法を用いて撤去が行われている。

また、発注者や設計者、施工者、工事専門業者が一体となって施工チームを結成して課題の解決を図るとともに、有識者による施工検討委員会からの助言や評価を得ることで計画の精度を向上し、トンネルの構築が行われた。この成果はシールド技術の発展に貢献するものという。
北大阪急行線は2017年、千里中央~箕面萱野2.5kmの延伸区間が着工。今年2024年3月23日に開業した。千里中央寄りからシールドトンネル、開削トンネル、高架橋で構成され、中間の箕面船場阪大前駅は地下駅、中間の箕面萱野駅は高架駅で整備された。


着工当初は2020年度の開業を予定していた。しかし基礎杭施工場所に昔のコンクリート擁壁が残っていたほか、シールドトンネルの掘削場所にも土留壁が残っていたことが判明。狭い空間での撤去作業に時間がかかり、用地交渉の難航も重なって開業時期が2023年度に延期された。

土木学会賞は土木工学や土木事業に貢献した者を表彰する制度。土木学会の創立6年目の1920年に創設された。技術賞(Iグループ)は「土木技術の発展に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められるインフラの設計や施工等の画期的な個別技術に授与する賞」になる。
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