高輪築堤から出土した木材「鉛筆」に 日本初の鉄道施設、コクヨとJR東日本が開発



文具メーカーのコクヨとJR東日本の2社は10月12日、高輪築堤(東京都港区)から出土した木材を使った鉛筆と鉛筆削りを製品化すると発表した。2社は「時間や場所の制約を超えて高輪築堤の歴史を新たな形で継承するため」としている。

近くに高輪築堤がある高輪ゲートウェイ駅付近を走る山手線の列車。【撮影:草町義和】

高輪築堤の木組基礎(松杭や胴木)を使って鉛筆と鉛筆削りを生産。「記憶のえんぴつ」と題して生産する。2社によると、材料の木材は100年以上地中に埋まっていたことで半神代化し、その種類によって削りだした際の木色に違いが出る。松杭は青みを帯びた白、胴木はグレーの色合い。木質も木材ごとに異なるため大量生産は難しく、一本一本手作りで生産するという。

「記憶のえんぴつ」の鉛筆や鉛筆削り、製品を収める箱。【画像:コクヨ・JR東日本】
鉛筆は1本ごとに色が異なる。【画像:コクヨ・JR東日本】

鉛筆1本の超早割価格(2970円)や鉛筆2本・鉛筆削りセットの早割価格(1万5675円)など全9コースを用意。10月13日11時から12月8日18時まで特設ウェブサイトで購入予約を受け付ける。

高輪築堤は現在の東海道本線(山手線・京浜東北線)・高輪ゲートウェイ駅付近で見つかった、日本初の本格的な鉄道(1872年開業)の路盤。2021年から始まった発掘調査で築堤の石垣などのほか、石垣と並行して打ち込まれた群杭や内部の木組基礎が見つかった。

開業当時の高輪築堤の構造図(想定)。【画像:コクヨ・JR東日本】

2社によると、木材は約150年のあいだ酸素の行き届かない地中に密閉された状態だったため腐敗しなかった。東京都港区の教育委員会による記録保存調査のあとは処分予定だった木材について、高輪築堤の歴史を新たな形で継承するとして「記憶のえんぴつ」を開発したという。

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