JR貨物は9月12日、脱線事故を機に発覚した車両整備時の検査データ改竄(かいざん)問題について、新たに67両で不正行為が確認されたと発表した。これにより対象車両は合計631両に膨れあがった。
JR貨物は9月10日、車輪などを車軸にはめ込む作業(輪軸組立作業)の際、検査データを改竄する不正行為が行われていたと発表。不正行為が行われていた車両基地は3カ所で、対象車両の数は輪西車両所の貨車309両と川崎車両所の貨車275両、広島車両所の機関車4両・貨車33両の合計564両としていた。
しかし9月11日、不正行為の有無の確認ができていない車両があることが分かり。すべての貨物列車の運行を一時的に停止して再調査を実施。輪西車両所の整備分で新たに貨車10両が不正行為の対象車両であることが判明し、川崎車両所の整備分でも新たに貨車57両が対象車両だったことが分かった。
この結果、不正行為の対象車両は輪西車両所が貨車319両、川崎車両所が貨車275両に増えた。広島車両所は9月10日の発表から変わっていない。
JR貨物によると、新たに判明した対象車両を含む合計631両の運用を停止。今後早期に車軸の検査を実施する。また、不正行為が確認された車両所では作業体制を再構築するまで輪軸組立作業を停止するという。
JR貨物は7月24日、山陽本線の新山口駅で貨物列車の脱線事故を引き起こした。これを受けて広島車両所での輪軸組立作業の確認を9月6日に実施したところ、社員からの申告で検査データを改竄する不正行為が行われていたことが判明した。
JR貨物によると、この事故で脱線した車両のなかにも検査データが改竄された車両が含まれていたという。一方で脱線の原因は「運輸安全委員会において調査中」としており、検査データの改竄と脱線事故に関係があるかどうかは明らかにしていない。
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