JR九州の急行「ひのくに」リバイバルツアー 残り少ない811系「転クロ車」使用



JR九州は「811系未更新車で行く!リバイバル急行『ひのくに号』の旅」と題した団体臨時列車のツアーを実施する。九州内の定期急行列車が姿を消してから今年2024年で20年になるのにあわせた企画。急行列車で運用されたこともある811系電車を使用し、リバイバル急行「ひのくに号」として鹿児島本線を走る。

JR九州の811系。【画像:ninochan555/写真AC】

ツアーは小倉発と八代発の2種類で、いずれも9月15日に実施。運行時刻は小倉発が小倉8時56分発→博多10時42分着・10時58分発→鳥栖11時43分着・12時22分発→熊本13時54分着・14時08分発→八代14時45分着、八代発が八代15時45分発→熊本16時19分着・16時39分発→久留米17時54分着・18時09発→博多19時09分着になる。途中駅からの参加はできない。

車両は4両編成の811系で、転換クロスシートを備えた未更新車を使用。編成の八代寄りにオリジナルヘッドマークを装着する。参加者には硬券タイプの記念乗車証をプレゼントするほか、当日の運転士用時刻表のレプリカなどオリジナルグッズを事前申込制で販売する。

定員は各ツアー60人で、旅行代金は小倉発が1万3800円、八代発が1万800円。申し込みはネット予約サイト「STORES」で8月9日9時30分から受け付ける。

「急行」幕を表示した急行列車のイメージ。【画像:JR九州】

「ひのくに」は国鉄時代の1961年、大阪~熊本を結ぶ寝台急行として運行開始。1968年には寝台特急「明星」に格上げされる形で消滅したが、1980年ごろから九州内の臨時列車として小倉・博多~熊本・八代などで運行された。車両は12系客車や寝台電車の583系を改造した715系電車、急行型電車の475系などが使われ、JR九州発足後の1989年からは当時デビューしたばかりの811系を使用して運行されていた。

1961年10月ダイヤ改正時点の鹿児島本線の時刻表。大阪~熊本を結ぶ「ひのくに」や東京~長崎・佐世保の「雲仙・西海」など東京・関西方面と九州を結ぶ急行列車が多数運行されていた。【引用:日本国有鉄道監修『時刻表』1961年10月号、日本交通公社】

811系は1989年から1993年にかけ112両が製造された快速列車用の電車。臨時急行列車での運用も想定し、座席は転換クロスシートを採用した。混雑緩和のため座席をロングシート化するなどのリニューアルが2016年から進められており、2028年までに完了する予定。JR九州は「(811系は)ロングシートへの改造が進んでおり、転換クロスシートを備えた車両は少なくなっています。ぜひ、この機会に懐かしい思い出とともに、811系未更新車両で九州の大動脈・鹿児島本線を運行する急行列車の旅をお楽しみください」とアピールしている。

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