天竜浜名湖鉄道「新型車両」2025年度から順次導入へ 運賃値上げを申請



天竜浜名湖鉄道(静岡県)は8月6日、旅客運賃上限変更認可を国土交通省の中部運輸局長に申請した。認可された場合、10月1日に運賃を値上げする予定。老朽化した車両を新型車両に更新するなどして旅客サービスの維持・向上を目指す。

天竜浜名湖鉄道の列車。【撮影:草町義和】

全体の改定率は8.8%。定期外と通勤定期は10.1%で、通学定期は4.2%になる。普通旅客運賃の上限は初乗り(0.0~3.0km)が現行200円のところ20円値上げの220円。それ以外の距離帯は30~150円の値上げだ。掛川~西鹿島の28.5kmは現行770円が80円値上げの850円。掛川~新所原の全線(67.7km)では現行1470円が150円値上げの1620円になる。

定期旅客運賃の上限(大人1カ月)は0.0~3.0kmで通勤が790円値上げの8700円。通学は270円値上げの5650円になる。27.1~30.0kmの区間は通勤が2870円値上げの3万480円で、通学は900円値上げの1万8840円。

普通旅客運賃の現行額と申請上限額。【画像:天竜浜名湖鉄道】
通勤定期旅客運賃(大人1カ月)の現行額と申請上限額。【画像:天竜浜名湖鉄道】

天竜浜名湖鉄道が運賃を値上げするのは、消費税率の引き上げを除くと2014年以来10年ぶり。同社は今回の申請に際し「(上限運賃の範囲内で設定する)実施運賃については、中部運輸局の認可が下りた時点で改めてお知らせいたします」としており、認可額より安い運賃が設定される可能性もある。

また、通学定期は現行の6カ月定期の2倍並みの価格に据え置いた12カ月定期のサービスを10月1日に開始する予定。割引率を高くして現行レベルの負担に抑えるともに、定期券の更新回数を1年1回にすることで購入者の負担の軽減を図るとしている。

転車台が使われている天竜浜名湖鉄道の車両基地。【撮影:草町義和】

天竜浜名湖鉄道によると、資材費や人件費、燃料費の高騰などに加え、施設の老朽化に伴う施設整備費も増加しており、経営状況が厳しい。旅客サービスの維持・向上のため運賃改定を申請したという。

天竜浜名湖鉄道は運賃改定の申請にあわせ、今後の主要プロジェクトの概要も発表した。鉄道施設は国鉄時代を含め開業から80年を超えており、計画的な整備・維持補修を進めて長寿命化を実現する。車両は老朽化によりエンジンの故障が頻発しているのに加え、修繕の際の部品調達も困難となっていることから、新型車両を導入。2025年度以降、毎年1両ずつ更新する計画だ。

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