城端線・氷見線「新型車両」検討項目が明らかに ドア数など「あいの風」と同一に



JR西日本が運営する城端線・氷見線の経営移管に向け、富山県や両線の沿線自治体が話し合う再構築会議の第2回会合が7月29日に開かれた。富山県は両線に導入する新型車両の基本仕様の検討項目などを示した。

城端線・氷見線で運用されている気動車のキハ40系。経営移管に先立ち新型車両への更新が計画されている。【撮影:草町義和】

新型車両の動力方式は「電気式気動車」「ハイブリッド気動車」「蓄電地駆動電車」「燃料電池車」の4案。国内では燃料電池車を除き営業運転の実績がある。編成両数は1編成2両を基本としつつ「2両・4両で運用」「2両・3両・4両で運用(一部3両編成)」の2案を示し、車両や編成の増結による運用も想定した。

JR北海道の電気式気動車H100形。【画像:中村昌寛/写真AC】
JR東海が特急「ひだ」「南紀」に導入したハイブリッド気動車のHC85系。【画像:YKT2000/写真AC】
JR東日本の蓄電地電車EV-E801系「ACCUM」。【撮影:草町義和】
JR東日本が試験走行を実施している水素燃料電池車のFV-E991系「HYBARI」。【画像:しろかね/写真AC】

先頭部の貫通ドアは「貫通あり」「貫通なし」の2案を挙げた。複数の編成を連結して運用する場合、編成間を移動できるようにするためには貫通ドアが必要になる。座席構成は「ロングシート」「クロスシート」「セミクロスシート(ロングシート+クロスシート)」の3案を挙げ、補助席の設置も想定した。

床面の高さや車両の長さ、旅客乗降用のドアは、あいの風とやま鉄道が運用している521系電車と同一の仕様にする。床面高さは約1120~1150mm。城端線・氷見線で現在運用されているキハ40系気動車より低くするとともに車内の段差をできるだけ解消し、バリアフリーを実現する。車両の長さは1両20m以上でドアは両開きで片側3カ所。車内混雑の平準化を図るとともに、あいの風とやま鉄道線に乗り入れる場合の停車位置の共通化を図る。

あいの風とやま鉄道の521系。1両の長さは約20mで旅客用のドアは片側3カ所に設けられている。【撮影:草町義和】

基本仕様の検討に並行して車両デザインも今後検討される。富山県は検討項目として「車両の前面デザイン」「車体のカラーリング」「内装」の3点を挙げ、実例を例示した。

前面デザインは、JR東海のHC85系特急型ハイブリッド気動車(2023年ブルーリボン賞)や相鉄20000系電車(2018年グッドデザイン賞)、大阪メトロ400系電車(2024年ローレル賞)を参考例として示した。カラーリングはあいの風とやま鉄道の観光列車「とやま絵巻」と東京メトロ銀座線1000系電車の特別仕様車を例示。内装は阪急電鉄・相鉄9000系電車・東京メトロ銀座線1000系(特別仕様車)を例示した。

前面デザイン例の一つとして挙げられた相鉄20000系。【撮影:草町義和】

富山県は車両デザインの作業チームを設置して9月ごろから検討を開始し、本年度2024年度内をめどに取りまとめる方針だ。

城端線・氷見線では現在、国鉄時代に製造されたキハ40系が運用されており、老朽化が激しい。両線とも2029年ごろをめどにJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管される予定で、これに先立ち新型車両を導入して移管後の経営改善やサービス向上を図ることが考えられている。

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