城端線・氷見線「並行在来線三セクに経営統合」再構築認定 新型・増便で利便性向上



国土交通大臣は2月8日、富山県などが申請していた城端線と氷見線の鉄道事業再構築実施計画を認定した。現在はJR西日本が両線を運営しているが、北陸新幹線の並行在来線を運営している第三セクター「あいの風とやま鉄道」に経営統合し、新型車両の導入や増便などで両線の利便性の向上を図る。

城端線の列車。【撮影:草町義和】

城端線は高岡~城端29.9kmで氷見線は高岡~氷見16.5km。両線ともJR西日本が運営する非電化単線の鉄道路線で、高岡駅であいの風とやま鉄道線に連絡。城端線の新高岡駅では北陸新幹線に連絡している。富山県と城端線・氷見線の沿線4市(高岡市・氷見市・砺波市・南砺市)、JR西日本、あいの風とやま鉄道は昨年2023年12月22日、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(地域交通法)に基づき、城端線と氷見線の鉄道事業再構築実施計画の認定を申請していた。

実施計画の概要によると、計画期間は2024年2月15日~2034年3月31日のほぼ10年間。計画開始からおおむね5年後(2029年ごろ)をめどに、城端線・氷見線の第1種鉄道事業をJR西日本からあいの風とやま鉄道に譲渡する。事業譲渡前に新型車両や交通系ICカードの導入に加え、譲渡後の増便・パターンダイヤ化に向けた改良などを実施。譲渡後は両線の直通化に向けた改良を実施する。

鉄道施設などの更新や整備、修繕の経費は富山県と沿線4市、JR西日本が負担。 富山県と沿線4市があいの風とやま鉄道に出資するとともに経営安定基金を設置し、あいの風とやま鉄道の経営安定を図るための支援を行う。

あいの風とやま鉄道が経営を引き継いだあとの安全・円滑な運行を行うため、JR西日本は運転士や施設、電気、車両など技術系の人員確保で協力。また、JR西日本は150億円を拠出して鉄道施設整備費の一部に充当するほか、残りは経営安定基金に積み立てる。

城端線・氷見線の再構築計画の事業スキーム。【画像:国土交通省】

利便性確保策は社会資本整備総合交付金を活用。合計額は341億2000万円で、内訳は新型車両の導入が173億円、交通系ICカードの導入が4億6000万円、既存設備の改良が53億円、増便やパターンダイヤ化のための改良が44億8000万円、城端線・氷見線の直通化に向けた改良が37億8000万円になる。

新型車両は電気式気動車など新しいタイプの気動車を採用し、振動の抑制による乗り心地の改善や加速性能の向上による速達性の確保、環境負荷の軽減を図る。車両前面にオリジナルデザインを取り入れるなどデザインを工夫し、利用者が愛着を持てる「乗りたくなる路線」を目指すという。

JR西日本が開発を進めている電気式気動車のDEC700。【画像:読者提供】

交通系ICカードは計画開始からおおむね2年後(2026年ごろ)をめどに、城端線・氷見線の全駅に対応改札機などを設置。すでに交通系ICカードに対応しているあいの風とやま鉄道線などほかの路線とのシームレスな乗り継ぎを実現する。

既存設備の改良はレールの更新やPC枕木化などを実施し、乗り心地の改善や維持管理コストの縮減、安全性の維持などを図る。また、朝夕ラッシュ時の増便や増車を図るほか、日中時間帯は1時間あたり2本のパターンダイヤ化を図る。このほか、城端線と氷見線が乗り入れる高岡駅で両線の直通化を図るための改良を実施する。

城端線・氷見線の1日あたりの利用者数は2022年度で9609人。実施計画最終年度の2033年度の時点で1万2000人以上に増やすことを目指す。収支も2022年度で10億8600万円の赤字のところ、2033年度には赤字幅を3億円ほど縮小して7億600万円の赤字に抑えることを目指す。毎年の赤字は経営安定基金で穴埋めする。

あいの風とやま鉄道は北陸新幹線の金沢延伸開業(2015年)にあわせ、並行在来線の富山県内区間(北陸本線・市振~倶利伽羅)の経営を引き継いだ第三セクター。並行在来線の第三セクターが並行在来線以外の鉄道路線を引き継ぐことが決まったのは、これが初めてだ。

鉄道事業再構築実施計画の認定はこれが14件目。2023年10月の地域交通法の改正後では初めてになる。富山県などの申請者は再構築計画の認定を受け「城端線・氷見線の利便性・快適性の向上、持続可能な路線の実現に向け、連携を密にして計画に定めた事項を着実に推進してまいります」とコメントした。

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