熊本市は7月17日、軌道運送事業を担う事業者を設立したと発表した。熊本市電の上下分離方式への移行に伴い、熊本市に代わって市電を運行する。
事業者の名称は「一般財団法人 熊本市公共交通公社」で設立日(法務局への申請日)は7月1日付け。事務所は熊本市交通局舎内に置く。出損金は6400万円。熊本市は本年度2024年度予算で出損金を計上していた。
熊本市電は施設や車両の老朽化に加え、経営上の問題などから電車の運転士や電車の整備を行う技工職を正規職員として新規採用できていない。近年は運転士不足による減便も発生している。熊本市は運転士の正規雇用化などによる雇用環境の安定化で市電を持続安定的に運行するとして、上下分離方式の導入を計画。同市が施設と車両の保有・整備を行って公社に貸し付け、公社が市電を運行する体制にする。
熊本市は上下分離方式の導入に加え、健軍町停留場から市民病院前停留場(仮称)まで1.57km延伸する東町線(仮称)の整備も計画している。同市は今後、上下分離と延伸を盛り込んだ軌道運送高度化事業の実施計画を申請し、まず来年2025年4月の上下分離方式の導入を目指す考えだ。
路面電車や路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)では、札幌市(札幌市電)と富山市(富山地鉄富山港線など)、栃木県の宇都宮市・芳賀町(ライトライン)で上下分離方式が導入されている。
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