ことでん「新型車両」「新駅」「複線化」など沿線自治体が支援 再構築計画認定



国土交通大臣は6月27日、高松琴平電気鉄道(ことでん)や香川県などが申請していた鉄道事業再構築実施計画を認定した。ことでん琴平線の新駅整備や複線化、新型車両の導入など利便性の確保に向けた取組を沿線自治体が支援する。

ことでんの列車。【画像:たろとれ/写真AC】

再構築実施計画は6月1日、ことでんと香川県のほか高松市・丸亀市・さぬき市・三木町・綾川町・琴平町・まんのう町の沿線3市4町が申請。対象区間は琴平線の高松築港~琴電琴平32.9kmのうち伏石~琴電琴平の27.9kmになる。ことでんが従来通り第1種鉄道事業者として運行や鉄道施設の保守管理を担うが、香川県と3市4町が利用者の利便性確保に向けた取組に対し財政的支援を実施する。事業費の総額は96億8000万円。

利便性確保のおもな内容(事業費)は、(1)新駅の整備(7億9000万円)、(2)複線化(9億8000万円)、(3)新車導入と設備更新(72億円)、(4)高齢者割引・乗継割引(7億円)。新駅・複線化・新車導入・設備更新の事業費の一部は社会資本整備総合交付金を活用する予定だ。

新駅は高松市南東部の太田~仏生山に整備。停車と行き違い回数の増加で所要時間が長くならないよう同区間の複線化も実施する。新駅の予定地周辺は人口増加が進んでおり、各種研究施設や県立図書館などが集積している。

ことでん琴平線の新駅予定地と複線化予定区間の位置。【画像:国土交通省】

新型車両は「省エネ性能の高い新造車両」を導入。車内快適性の向上と環境負荷低減を図る。また、更新計画に基づき安全輸送設備の計画的な更新を実施する。

このほか、ICカード「IruCa」を使用して電車とバスを乗り継ぐ場合、1乗車につき100円を割り引く乗継割引を実施。高松市・綾川町在住の70歳以上の住民が高齢者向けICカード「ゴールドIruCa」を利用して乗車した場合は運賃の50%を割り引く高齢者割引も実施する。

計画期間は認定日から2028年度末(2029年3月31日)の約5年間。年間利用者数は2023年度が747万3000人だったのに対し、再構築実施計画の実施で2028年度は約83万人増えて830万2000人になる見込みだ。営業損益も2023年度の1億1800万円に対し2028年度は2100万円多い1億3900万円に増える見込み。

ことでんはコロナ禍で利用者が大幅に減るなど経営が悪化。車両の大半は利用年数が50年以上過ぎていて老朽化が進んでおり、踏切の遮断機が下りなくなるなど施設のトラブルも頻発している。2023年5月には運賃の値上げを実施した。

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