中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道「政府間協定」締結 30年近く前からの構想が浮上



中国と旧ソ連中央アジアのキルギス・ウズベキスタンは6月6日、「中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道」のプロジェクトに関する政府間協定を締結した。新華社通信などが報じた。中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の一環。

ウズベキスタンの鉄道。【画像:しょーちゃんKSD/写真AC】

調印式は北京で行われ、中国の習近平国家主席、キルギスのザバロフ大統領、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領が協定締結を祝福するビデオメッセージを送った。

習国家主席は「一帯一路構築における3国協力の画期的なプロジェクト」と指摘し、ザバロフ大統領は「完成すればアジアから欧州、ペルシャ湾岸諸国への新たな輸送路線になる」と評価。ルジヨエフ大統領は「中国と中央アジアを結ぶ最短の陸路となり、南アジアや中東といった地域諸国の協力をさらに拡大することにもつながる」と話した。

中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道は、中国ウイグル自治区のカシュガルからキルギスのオシュを経由し、ウズベキスタンのアンディジャンに至る全長約530kmの鉄道構想。カザフスタンを経由する現在の中国~中央アジアの鉄道ルートに比べ、中国から西アジアや南アジア方面へは距離の短縮につながる。ただし2本のレール幅(軌間)は中国が1435mmの標準軌なのに対して中央アジアは1520mmの広軌で、直通運行は台車の交換が必要になるなどの課題がある。

中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の位置(赤太線)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】
中国~カザフスタンの直通列車。軌間が異なるため国境付近で台車を交換する。【撮影:草町義和】

中国と中央アジアを結ぶ鉄道は1992年、中国~カザフスタンで開業。2012年には2本目となる中国~カザフスタンの鉄道が開業した。中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の構想は30年近く前の1996年ごろから提唱されているが、各国の財政上の問題から長らく構想止まりだった。

2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻後、中央アジア各国がロシアと一定の距離を置く一方、中国やトルコが中央アジア各国に接近。新たな物流ルートを構築しようとする動きが活発になっている。

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