黒部峡谷鉄道(富山県)は5月27日、能登半島地震の影響で一部区間が運休している観光トロッコ列車について、今年2024年シーズンは全線の運行を断念すると発表した。黒部峡谷鉄道に接続して黒部ダムを結ぶ関西電力の業務用物資輸送ルート「黒部ルート」の一般開放も、来年2025年以降に延期される。
黒部峡谷鉄道は冬季運休中の今年2024年1月に発生した能登半島地震の影響で、猫又~鐘釣の橋梁(鐘釣橋)が東鐘釣山からの落石で損傷した。これを受けて黒部峡谷鉄道は3月に2024年シーズンの運行計画の変更を発表。まず4月から宇奈月~猫又で運行し、通常は5月から始まる全線の運行開始は10月に延期するとしていた。
黒部峡谷鉄道によると、雪解け以降に詳細な現地調査を実施したところ、東鐘釣山の斜面などの損傷が想定以上に大きいことが判明。落石防止対策などの復旧工事は当初の見込み以上に時間がかかるため、2024年シーズンの全線運行ができない状況になったという。
黒部峡谷鉄道の終点の欅平駅と黒部ダムを結ぶ黒部ルートも6月に「黒部宇奈月キャニオンルート」として一般開放される予定だったが、黒部峡谷鉄道にあわせて10月に延期していた。富山県は今回の黒部峡谷鉄道の発表を受け、一般開放をさらに2025年以降に延期すると発表。一般開放の時期などについては改めて案内するとしている。
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