羽田空港アクセス線の工事で高輪築堤「撤去」一部は計画変更で現地保存



JR東日本は4月15日、羽田空港アクセス線(仮称)の計画範囲に「高輪築堤」など歴史的な建造物の遺構が存在すると発表した。同線の計画を変更して遺構の一部を現地保存する一方、それ以外の遺構は撤去して建設を進める方針。

羽田空港アクセス線を走る列車(左下)のイメージ。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

羽田空港アクセス線は田町駅付近~東京貨物ターミナルの東山手ルートと東京貨物ターミナル~羽田空港新駅(仮称)のアクセス新線が2031年度に開業する予定。昨年2023年6月に起工式が行われた。東山手ルートは既設の東海道本線貨物支線(大汐線)を活用して整備するが、田町駅付近で東海道線・京浜東北線・山手線の線路を配置し直し、東海道線と大汐線の線路を接続する工事を行う必要がある。

2022年7~8月に実施した試掘調査の結果、高輪築堤と思われる石積の一部を発見。有識者や東京都港区、JR東日本などで構成される高輪築堤調査・保存等検討委員会が遺構への影響の軽減などを検討してきた。このほど検討委の方針が決まったことから、同社としての今後の方針を取りまとめた。

試掘調査により石積を確認した場所(田町駅の新橋寄り)。【画像:JR東日本】

JR東日本によると、羽田空港アクセス線の工事計画と高輪築堤が重なるのは田町駅の新橋寄りで約160m。雑魚場架道橋の橋台には鉄道開業時の第5橋梁の橋台が残っている可能性がある。また、田町駅のホームや駅舎などがある部分の約230mは、江戸時代後期に構築された砲台(薩摩台場)の上に位置している可能性もあるという。

このため同社は羽田空港アクセス線の下り勾配開始地点を約100m品川寄りに移し、これにより高輪築堤の約100mを現地保存する考え。今後、線路縦断線形の計画変更を行い、それにより必要な環境影響評価の手続きや工事計画の変更手続きを、国や東京都などの関係者と連携して進める。

羽田空港アクセス線の計画範囲と高輪築堤・薩摩台場の想定位置。【画像:JR東日本】

一方、高輪築堤の残る約60mと第5橋梁の橋台、薩摩台場については、検討委が今年2024年3月の会合で記録保存とする方針を示した。これを受けてJR東日本は、これらの遺構について「工事を進めながら、港区教育委員会と連携して、考古学・鉄道史・土木史などの諸分野の知見に基づき、慎重かつ丁寧な記録保存調査を進めます」とし、現地保存せず工事の進展にあわせて撤去する考えを示した。

高輪築堤は、日本初の本格的な鉄道として1872年に開業した新橋(のちの汐留)~横浜(現在の桜木町)の官設鉄道の構造物。のちの線路改良や車両基地の整備で地中に埋まったが、車両基地の廃止に伴う高輪ゲートウェイ駅の整備や造成工事で出土し、羽田空港アクセス線の工事範囲にも遺構が存在するとみられていた。JR東日本は高輪ゲートウェイ駅付近の高輪築堤の遺構も一部を現地保存し、それ以外は記録保存する計画だ。

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