上野動物園モノレールの代替は「ジェットコースター」東京都、イメージ発表



東京都建設局は3月29日、上野動物園に導入する「新たな乗り物」について、ジェットコースターと同様の構造を持つ交通システムを選定したとし、あわせてイメージ図を発表した。来年度2024年度から設計に着手し、2026年度末の運用開始を目指す。

下り坂は位置エネルギーを使って走るジェットコースター。【画像:phon-ta/写真AC】

東京都は上野動物園の東園と西園を結ぶモノレールを1957年に開業。車両の老朽化などにより2019年10月限りで休止し、昨年2023年12月に廃止した。このため東京都はモノレールの代替となる「新たな乗り物」の整備を決め、企画提案を公募。「恩賜上野動物園新たな乗り物選定審査委員会」を設置し、3社が提案した乗り物を審査した。

審査委は利便性や安全性、環境への配慮、運営・維持管理、経済性など6項目を得点方式で審査。「B社」が提案した乗り物(541点)を選定した。

東京都は「B社」の乗り物について「ジェットコースターと同様の構造を利用した脱輪の心配のない高い安全性の乗り物」「上り勾配ではモーター駆動で、下り勾配では条件により位置エネルギーを利用して走行する省エネシステム」としている。

「新たな乗り物」の外観イメージ。【画像:東京都】
「新たな乗り物」のラッピング例。【画像:東京都】
「新たな乗り物」の内装イメージ。【画像:東京都】

審査委は「現況の地形に合わせたルート設定となっており、かつルートに適した車両の形式である」「混雑時の動線やバリアフリー等について十分に配慮されている」「緊急時の応急体制等が確立されている」「既存樹木への影響に配慮されている」などと評価したという。

東京都は「B社」の名称などを公表していないが、横浜市内のロープウェイ「横浜エアキャビン」を運営する泉陽興業が、ジェットコースターの原理を応用した軌道交通システム「エコライド」を東京大学生産技術研究所(東大生研)などと共同で開発している。千葉県内に実験線を整備して試験走行が行われたことはあるが、公共交通での採用例はない。

エコライドのイメージ。ジェットコースターと同じタイプの軌道桁が描かれている。【画像:泉陽興業】

■審査結果

評価項目|配点|A社|★B社|C社
(1)利用者の利便性|120|65|★81|78
(2)乗り物の安全性|180|99|★148|143
(3)環境への配慮|150|98|★79|85
(4)運営・維持管理|90|31|★63|67
(5)経済性|60|49|★39|56
(6)その他|180|79|★131|85
評価点|780|421|★541|514

《関連記事》
沖縄市「ジェットコースター鉄道」研究へ 市内交通や人工島アクセス想定
上野動物園モノレール「廃止」2023年12月に 国交相が繰り上げ認定