沖縄市「ジェットコースター鉄道」研究へ 市内交通や人工島アクセス想定



沖縄県沖縄市は12月21日、軌道交通システム「エコライド」を市内の交通機関として採用できるかどうか、調査研究する考えを示した。

エコライドはジェットコースターの技術を活用した軌道系交通システム。【画像:sugi1608/写真AC】

同日開かれた沖縄市議会定例会の一般質問で宮城浩議員(にぬふぁ星おきなわ)が提案し、これに建設部長と建設部参事が答えた。

宮城議員によると、沖縄こどもの国と人工島の東部海浜開発地区(潮之森)を結ぶロープウェイ構想に着眼点を得て、山口県下関市の火の山ロープウェイや横浜市の都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN(横浜エアキャビン)」を視察。その際、新しい交通システムとして「エコライド」の紹介と資料提供を受け、「これは将来の本市だけでなく、中部広域的に回遊性を高めると考える」などとして、沖縄市に調査検討を行うよう求めた。

建設部長は「まずはエコライドに関する情報を収集し、安全性や事業性、適用エリアなど調査研究に努めていきたい」と答弁。建設部参事は「東部海浜開発地区の付加価値を高める一つの要素として考えられることや、島内を移動する交通手段として事業性、活用方法など研究していきたい」と答弁し、東部海浜開発地区のアクセス交通や市内の交通機関として導入できるかどうか研究する考えを示した。

沖縄市の位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

エコライドは、横浜エアキャビンを運営する泉陽興業や東京大学生産技術研究所(東大生研)などが共同開発した軌道交通システム。ジェットコースターの技術を採り入れたもので、上り坂は軌道の各所に設けた引上装置を使って車両を巻き上げ、下り坂は位置エネルギー(重力)で走る。車両にモーターなどの動力装置は搭載しない。

泉陽興業と東大生研が公表している資料によると、10mの巻き上げで約400m走れる。営業距離は最長10km。定員12人の小型車両を2~7両連結して走る。輸送力は1時間あたり2000~2500人。速度は表定20km・最高40km/h。最小回転半径は15m(車両性能は10m)。最大勾配は下りで最大8度(140パーミル)、巻き上げ時で最大14度(250パーミル)になる。

エコライドのイメージ。ジェットコースターと同じタイプの軌道桁が描かれている。【画像:泉陽興業】

建設コストは1kmあたり20~25億円で、新交通システムやモノレールより低コストで建設できるという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や経済産業省の委託事業として研究が進められ、東大生研の千葉実験所に実験線を整備して走行実験が行われた。公共交通での採用例はまだない。

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