京急電鉄は5月10日、本年度2023年度の設備投資計画を発表した。総額は約295億円。神奈川新町駅の大規模改良工事に着手するほか、品川駅付近や大師線の連続立体交差事業(連立事業)を引き続き推進。車両の代替新造やホームドア設置工事なども進める。
神奈川新町駅はエレベーターやエスカレーターの新設とあわせ、道路と接続する歩道橋なども整備。駅周辺と一体的な移動円滑化を図る。ホームドアは2022年度末までに12駅で設置済み。2023年度は青物横丁・梅屋敷・六郷土手・八丁畷・生麦・弘明寺・杉田・金沢文庫・金沢八景の9駅に設置する。
このほか、花月総持寺駅で駅舎の耐震補強を実施し、同時にトイレの新設とコンコースのリニューアルなどを行う。黄金町駅ではホーム上屋の延伸を実施。汐入駅はトイレをリニューアルする。現在26駅に設置されている運行情報配信システムは2023年度、11駅に設置する。
品川駅付近(泉岳寺~新馬場)の連立事業は、北品川駅とその前後を高架化して踏切3カ所を解消するとともに、品川駅を地上に移設してホームを2面3線から2面4線に増強する。2023年度も引き続き工事を進める。
京急大師線の連立事業は東門前駅付近から小島新田駅付近の約980mで地下化が完了済み。2023年度は地上部の整備工事や、大師橋駅と小島新田駅の駅舎工事などを引き続き実施する。
車両は1000形電車を14両(8両編成1本と6両編成1本)、代替新造する。既存の1000形は16両(8両編成1本と4両編成2本)で更新工事を実施。フリースペースの設置や非常通報装置の増設、固定窓の一部開閉化などを行う。車内防犯カメラは地上側でリアルタイムに映像を確認できる新タイプのものを、2026年度末までに全車両に導入する考えだ。
踏切安全対策は、2019年9月に発生したトラックとの衝突事故による脱線事故を踏まえ、検知機能を強化した機器への更新を進める。2023年度は4カ所で実施する予定だ。また、発光信号機が動作した際に自動的にブレーキを動作させる「制動操作支援システム」を2022年3月から大師線の踏切に導入しており、2023年度は合計13か所に導入する。
将来成長を見据えた投資として、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引上線計画と泉岳寺駅の改良計画を推進する。空港駅の引上線整備は航空旅客の増加を見据えて輸送力の増強を図るもの。滑走路側の地下に引上線を整備する。2023年度は国土交通省と協力して引上線新設工事と駅改良工事を進める。
都営浅草線と京急本線が接続する泉岳寺駅の周辺では、再開発による交流人口の大幅な増加が見込まれていることから、同駅でホーム拡幅やコンコース拡張、昇降施設・出入口などの機能強化を行う改良工事が計画されている。京急電鉄は駅の隣接地域で東京都が施行する市街地再開発事業と連携して改良工事を進めるとしている。
2023年度設備投資計画のおもな項目(投資額)は次の通り。
●さらなる安全対策の強化(約160億円)
・連続立体交差事業の推進(品川駅付近・大師線)
・車両の代替新造、車内防犯カメラ設置
・踏切安全対策の強化
・激甚化する自然災害への対策
●ユニバーサルで快適な輸送サービスの提供(約79億円)
・ホームドア設置工事の推進
・駅改良工事(大規模改修、ホーム上家延伸等)
・車両更新工事(フリースペースの設置・窓の開閉化等)
●環境負荷低減に向けた取り組み(約10億円)
・駅および車両照明設備のLED化
・省エネルギー設備への更新、駅舎補助電源装置の新設
●将来の成長に向けた投資(約46億円)
・羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事
・泉岳寺駅改良工事
・鉄道オペレーション変革に向けた取り組み(駅業務高度化など)
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