京急電鉄の子供運賃「75円均一」に 精神障害者割引も導入、空港割引は廃止へ



京急電鉄は子供運賃を一定の条件下で大幅に値下げするなど、新しい運賃・割引制度を10月1日の運賃改定にあわせて導入する。5月10日、新運賃・割引制度を盛り込んだ実施運賃を国土交通大臣に届け出た。

京急電鉄の電車。【撮影:草町義和】

子供運賃はICカード利用時に限り、普通旅客運賃を全区間で75円均一に変更する。空港線の加算運賃(25円)は別途負担する必要がある。現行運賃と比べた場合、初乗り区間(1~3km)では7円の値上げだが、4km以上の区間はすべて値下げに。最大(66~67km)で396円の値下げになる。

「精神障害者割引」も新たに導入する。「精神障害者保健福祉手帳(1級)」を持っている客が介護者と一緒に京急線を利用する場合、本人・介護者ともに普通乗車券(紙の切符)が5割引になる。ICカードでの利用や回数券、定期券は割引の対象外だ。

一部の区間で設定されている特定運賃は割引額を拡大する。品川~横浜(ICカード利用時)の場合、現在の特定運賃は303円で、現行の上限運賃からの割引額は11円。改定後は10円値上げの313円になるが、割引額は改定後の上限運賃に比べ34円に拡大する。

一方、京急線の羽田空港ターミナル各駅から都営地下鉄線・京成線を乗り継ぐ場合に適用される空港連絡特殊割引は廃止される。羽田空港第1・第2ターミナル~日本橋の場合、現行運賃はICカードで503円だが、改定後は80円値上げの583円になる。京急電鉄によると、コロナ禍による客の行動変容のほか、2019年10月に加算運賃の引き下げ(170円→50円)を実施しており、割引を設定した当初とは経営環境が大きく変化。一定の役割を終えたとして廃止するという。

京成成田スカイアクセス線に乗り入れる京急電鉄の列車(左)。【撮影:草町義和】

京急電鉄はコロナ禍による利用者の減少などを受け上限運賃の改定を申請。今年2023年4月に国土交通大臣の認可を受けており、10月1日に運賃改定を実施する予定だ。全体では平均10.8%の値上げだが、41km以上の比較的長い区間は値下げする。

ICカードによる子供運賃の大幅低価格化は昨年2022年3月、関東大手私鉄の小田急電鉄(50円)が実施。関西でも泉北高速鉄道が2023年10月1日の運賃改定時にあわせ実施(50円)する予定だ。京急電鉄は子育て世代の家計負担を軽減するためとしている。

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