JR宮島連絡船「値上げ」39年ぶり、国鉄分割民営化後では初 各運賃の概要



JR宮島航路(宮島連絡船、広島県)を運航するJR西日本宮島フェリーは6月2日、一般旅客定期航路事業の運賃・料金設定変更を中国運輸局長に届け出ると発表した。10月1日に運賃を値上げする。

JR西日本宮島フェリーが運航する宮島連絡船。【画像:丸岡ジョー/写真AC】

普通旅客運賃は現行180円のところ20円値上げして200円にする。定期旅客運賃は改定しない。回数券の有効期間はすべて3カ月に統一する。各運賃の概要は次の通り。

●旅客運賃
大人:現行180円→改定200円(20円値上げ)
子供:現行90円→改定100円(10円値上げ)
※普通回数券の設定は継続

●特殊手荷物運賃
自転車・台車:100円(据え置き)
バイク(125CC以下):現行190円→改定200円(10円値上げ)
バイク(125CC超~750CC以下):現行290円→改定300円(10円値上げ)
バイク(750CC超):現行380円→改定400円(20円値上げ)
※回数券を新設

●自動車航送運賃
3m未満:現行790円→改定800円(10円値上げ)
3m以上~4m未満:現行1210円→改定1250円(40円値上げ)
4m以上~5m未満:現行1690円→改定1700円(10円値上げ)
5m以上~6m未満:現行2210円→改定2250円(40円値上げ)
※「3m未満」と「5m以上」に回数券を新設

宮島連絡船は、山陽本線・宮島口駅や広島電鉄・広電宮島口駅が近くにあるフェリー乗り場(宮島口桟橋)と厳島(宮島)の宮島桟橋を結ぶ航路。1897年から運航が始まった渡船が起源で、1903年には現在の山陽本線を運営していた山陽鉄道の航路になったが、3年後の1906年に同社が国有化されて国鉄の連絡船になった。

1987年の国鉄分割民営化ではJR西日本が引き継ぎ、2009年の分社化で現在はJR西日本宮島フェリーが運航している。輸送人員は2019年度が233万6000人だったのに対し、コロナ禍の2020年度は88万2000人と大幅に減少。2022年度は176万人まで回復したが、コロナ禍前のレベルまでは戻っていない。

JR西日本宮島フェリーによると、燃料など物価の高騰や船員の労働環境の変化、今後の人口減少や社会の行動変容を踏まえると、安全で快適な運航を維持、継続していくことが困難で、抜本的な経営改善策が必要と判断して運賃を改定することにしたという。運賃改定は消費税率引き上げによるものを除くと、国鉄時代の1984年以来39年ぶり。国鉄分割民営化後では初めてだ。

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