宇都宮ライトライン開業5カ月「好調」快速・増便・車両増備へ 接続バスに課題も



宇都宮市と栃木県芳賀町を結ぶ宇都宮ライトレールの軽量軌道交通(LRT)「ライトライン」の総利用者数が、開業から5カ月で当初予測の約1.2倍となる約190万人に達したことが明らかになった。おおむね好調に推移しており、宇都宮市はさらなる利用促進を図る考えだ。

ライトラインの電車。【撮影:草町義和】

2月1日に開かれた宇都宮市議会の議員協議会で同市が報告した。1日あたりの利用者数は、平日で1カ月目(2023年8月26日~9月25日)と2カ月目(9月26日~10月25日)が約1万2000~1万3000人。3カ月目(10月26日~11月25日)と4カ月目(11月26日~12月25日)は約1万3000人で、5カ月目(12月26日~2024年1月25日)が約1万2000人だった。

当初予測では開業初年度を約1万2800人としており、ほぼ予測通り。ただし最終的な見込みは1万6300人で、それと比べると4000人ほど少ない。

土曜・休日は当初予測で開業初年度を4400人、定着期には5600人を見込んでいたが、1カ月目は予測を大幅に上回る約1万5000~1万6000人。2カ月目以降は徐々に減少しているが、5カ月目でも約9000人で、予測を上回っている。

ライトラインの開業5カ月目までの利用状況。【画像:宇都宮市】

開業直後は運賃収受に時間がかかって大幅な遅れが生じていたが、乗り方の定着やICカードの利用率向上で運賃収受の時間が短縮され、おおむね定刻通りに運行されているという。

宇都宮市は利用状況などを踏まえ、サービス向上のためのダイヤ改正を実施する考えだ。宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地の所要時間を最短で約44分に短縮するほか、朝のピーク時間帯に快速運行を実施。通勤・通学需要に対応した増便なども行う考えだ。また、貸切運行の需要の高まりや観光目的での利用も見込まれるとし、2026年度までに車両を2編成増備する考えも示した。

一方、ライトラインの開業にあわせ再編された宇都宮駅東側のバス路線のうち、ライトラインとの接続を図った新設路線は厳しい状況だ。宇都宮大学陽東キャンパス停留場を発着する3系統は、8月27日~12月31日の1日あたり利用者数が平日363.3人、休日330.4人で、目標水準(3年経過後)の平日590人、休日450人より少ない。

清原地区市民センター前発着の3系統も目標水準が平日680人、休日420人なのに対し、実際は平日148人、休日48.8人で目標を大幅に下回っている。芳賀町の芳賀工業団地管理センター発着の4系統は、目標水準が平日440人、休日180人なのに対し、実際の利用者数は平日37.8人、休日30.9人だった。

新設バス路線の利用状況。【画像:宇都宮市】

地域内交通とほかの公共交通機関との乗継利用割合は、ライトライン開業前が地域内交通利用者数全体の2.5%程度だったが、開業後は4.5%に増えている。

宇都宮市はライトラインの利用状況について「地域の移動手段として定着しつつある」と評価。一方で新設バス路線については「利用状況を調査・検証しながら、適宜、運行サービスの改善を図るとともに、定期利用者の確保に向けて、通学者を対象とした利用促進策などに取り組んでいく」としている。

《関連記事》
芳賀・宇都宮LRTもうひとつの反対運動「小学生が危ない」戦前の新潟でも似たケース
宇都宮ライトライン、開業2カ月で「80万人」達成 「10分遅れ」定時性の確保に課題