JR西日本「DEC700」などで次世代燃料実験 気動車のCO2排出量「実質ゼロ」へ



JR西日本は8月24日、次世代バイオディーゼル燃料の導入に向けた実証実験を行うと発表した。2025年度以降の本格的な導入を目指す。

電気式気動車の試験車両DEC700。【画像:読者提供】

実証実験は山陰本線など、おもに気動車が走る線区での実施を検討中。電気式気動車の試験車として昨年2021年に製造されたDEC700や、国鉄時代から運用されている気動車のキハ40形などで次世代バイオディーゼル燃料を使用する。

まず本年度2022年度にエンジン性能確認試験を実施。エンジン単体で試験を行う。軽油と次世代バイオディーゼル燃料の混合率5%から始めて段階的に100%に引き上げ、軽油を使用した場合との差異を確認する。

続いて2023年度に走行試験を実施。試運転列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用して1日1往復する。通常期・夏期・冬期の3シーズンで各1カ月程度実施し、気温の影響を確認する。

2024年度から実施する長期走行試験では、複数の営業列車で次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1車両あたり1日200km程度を走行。燃料消費量の変化や品質レベル、営業列車に使用できる安全性・安定性が担保できるかを確認する。

次世代バイオディーゼル燃料は、植物などから生産される燃料。JR西日本などによると、二酸化炭素(CO2)排出量は軽油とほぼ同じだが、排出されるCO2は植物の成長過程で光合成により吸収したCO2になる。このため吸収量と排出量が相殺され、CO2の排出量は「実質ゼロ」とみなせるという。

JR西日本は次世代バイオディーゼル燃料への転換により、同社の気動車から排出されるCO2(2021年度実績で約5万5000トン)が実質ゼロになる効果が想定されるとしている。一方で将来的には「カーボンフリーの次世代車両」への転換を検討していくとしている。

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