国土交通省の近畿運輸局長は3月19日、六甲ケーブル線・六甲ケーブル下~六甲山上の1.7kmを運営する六甲山観光(4月1日付けで神戸六甲鉄道に改称)が申請していた鉄道事業旅客運賃の上限設定を認可した。上下分離方式への移行に伴う手続きで、実際の運賃は据え置く。
六甲ケーブル線は六甲山観光が運営しているが、4月1日からは阪神電鉄が第3種鉄道事業者として施設を保有し、神戸六甲鉄道は阪神電鉄から施設を借り入れて運行する第2種鉄道事業者に変わる。このため六甲山観光は第2種鉄道事業者として新たに旅客運賃の認可を受ける必要があった。
普通旅客運賃の上限は800円で200円の値上げ。ただし上限の範囲内で設定される実際の運賃(実施運賃)は現行運賃と同じ600円とし、六甲山観光は当面のあいだ運賃を据え置く考えだ。定期旅客運賃の上限は据え置き、1カ月の場合は通勤が8160円、通学が3310円になる。
申請理由によると、六甲ケーブルは2022年、ケーブルカー台枠フレームの亀裂で2度にわたり運休。経年に加え六甲山の自然特性や風水害にさらされた影響で施設・車両の老朽化がすすんでいる。
このため六甲山観光と同社親会社の阪神電鉄は、上下分離方式の経営に移行することを決定。阪神電鉄が六甲ケーブルの施設を保有することで、安全管理体制の充実と人員・施設への投資を図り、安定運行を目指すことにしたという。
2022年度は1億4127万4000円の収入に対し、原価が2億3081万7000円、配当所要額が31万7000円で、8986万円の赤字。2024~2026年度は現行運賃のままなら2億2792万4000円の赤字だが、運賃改定により赤字額を1286万9000円に縮小することを見込む。
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