東海道新幹線「自動運転」や台湾「N700S」など JR東海、2023年度重点施策



JR東海は3月25日、2023年度の重点施策と関連設備投資の概要を発表した。設備投資額は連結ベースで6160億円、単体ベースでは5860億円。このうち3400億円をリニア中央新幹線の建設に投じる。

2023年度は4編成が増備されるN700S。【画像:しろがね/写真AC】

輸送サービスの充実には750億円を投じる計画で、自動運転の開発や新型車両の増備などを盛り込んだ。東海道新幹線では全駅へのホームドア設置に向けた取組を進めるほか、自動化レベル「GoA2」の自動運転の導入に向けた開発を進める。

GoA2は自動運転装置が運転士を支援するタイプで、列車の発車時に運転士がボタンを押すと自動的に動き出し、次の停車駅で自動的に停止するもの。東京メトロ丸ノ内線などの都市鉄道で導入されている。

2023年度の新型車両の増備は、新幹線のN700S電車が4編成の計画。在来線ではHC85系特急型ハイブリット車を14両増備し、高山本線「ひだ」に続き紀勢本線「南紀」にも7月から導入する。普通列車用の315系電車は120両を増備する。このほか、車側カメラを設置した車両による安全確認の技術検証を行う。

「ひだ」に続いて「南紀」にも導入されるHC85系。【画像:YKT2000/写真AC】

安全・安定輸送の確保(1270億円)では、東海道新幹線への脱線防止ガードの整備を引き続き推進。2023年度は約58kmを敷設する。

リニア中央新幹線の建設では「工事の安全・環境の保全・地域との連携を重視し、中央新幹線の早期開業に取り組む」とした。静岡県が着工を認めていない南アルプストンネル静岡工区については「国土交通省の有識者会議の水資源に関する中間報告を踏まえ、引き続き、地域の理解と協力が得られるよう真摯(しんし)に取り組む」としている。

リニア中央新幹線・神奈川県駅(仮称)の工事現場。【撮影:草町義和】

超電導リニアの技術開発によるコストダウン・ブラッシュアップには20億円を当時、高温超電導磁石の検証などを進める。高温超電導磁石は液体ヘリウムなどを使うことなく従来より高い温度で超電導状態を実現できることから、構造の簡素化や省メンテナンス化が可能。コスト低減に効果があるとされる。

営業施策の強化(100億)では、今年2023年秋に「EX-MaaS」(仮称)のサービス開始を予定。グループ事業の推進(310億円)ではJR東海グループの共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」を10月に開始する。

技術開発の推進や高速鉄道システムの海外展開には5億円を投じる。米国での高速鉄道プロジェクトに取り組むほか、台湾の高速鉄道についてN700Sをベースとした新型車両の導入に伴う技術支援に取り組むとしている。

現在は700系ベースの700T形が運用されている台湾の高速鉄道。【撮影:草町義和】

このほか、持続可能な社会の実現に向けた取組として、2050年の二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロ化を目指す。燃料の使用で直接排出されるCO2の削減策としてHC85系の導入を推進。また、車両走行試験装置を用いて燃料電池車に関する試験を開始するほか、蓄電地車の調査研究も継続する。

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